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「年長もこのあとあるでしょ」運動会の撮影場所を譲らない父親。だが、係の保護者が伝えた入れ替えのルール

  • 2026.10.15

最前列から動こうとしない父親

子どもが幼稚園の年少だったころ、運動会での出来事です。

園庭の端には保護者用の撮影スペースが設けられていました。

ただし、入れるのは競技に出る学年の保護者だけ。学年ごとに色の違うリボンを胸につけ、競技が終わるたびに入れ替わる決まりでした。

ところが、その日、撮影スペースのいちばん前の真ん中から、なかなか動こうとしない父親がいました。

大きなカメラを構え、競技が終わってもその場所から離れません。

入口で待っていた母親が、小さな声でつぶやきました。

「あれ?もう終わりましたよね…」

その声が聞こえたのか、父親はちらりと振り返って舌打ちをすると、再び園庭にカメラを向けました。

やがて、年少の子どもたちの入場が近づいてきました。

係の保護者が声をかけます。

「次は年少さんです。保護者の方、入れ替えをお願いします」

ほかの保護者たちは順番に出ていきましたが、父親だけは動きません。

「あの、すみません。次の方が待っているので…」

係の保護者がもう一度声をかけると、父親は面倒そうに振り返りました。

「いや、まだ撮るものがあるんで」

「お気持ちはわかりますが、学年ごとの交代なんです」

すると父親は、不満そうに言いました。

「でも、年長もこのあとあるでしょ。ここで待ってちゃダメなんですか?」

その言葉で、私は父親が動きたがらない理由を少し理解した気がしました。

いったん外に出れば、せっかく確保した最前列を手放すことになります。年長の競技まで、同じ場所で待っていたかったのかもしれません。

しかし、それでは年少の保護者が撮影できません。

係の保護者が伝えた入れ替えのルール

係の保護者は、父親の胸についている年長のリボンを確認し、改めて説明しました。

「年長さんは、このあとまた撮影の時間があります。今は年少さんの保護者に場所を譲っていただけますか」

ところが父親は、納得できない様子です。

「同じ園の子なんだから、誰が撮ってもいいでしょ」

少し声が大きくなり、入口で待っていた保護者たちも顔を見合わせました。

係の保護者は落ち着いた声で答えます。

「撮影することが問題なんじゃないんです。みなさん、自分のお子さんの出番に合わせて交代しているので…。お願いします」

父親はしばらく黙っていましたが、やがてカメラを下ろしました。

「……わかりましたよ」

そう言って、渋々撮影スペースから出ていきました。

ようやく年少の保護者たちが中に入り、私もいちばん前でカメラを構えることができました。

スタートの線に並んでいたわが子が、こちらに気づいて手を振ります。

「パパ、見てて!」

私は手を振り返し、わが子の姿をカメラに収めました。

撮影を終えて外に出ると、今度は年長の保護者たちが入口に列を作っていました。

そこには、先ほどの父親の姿もありました。

カメラを抱え、列のいちばん後ろに並んでいます。

「年長さんの保護者の方、どうぞ」

係の案内で、前に並んでいた保護者たちから順番に撮影スペースへ入っていきました。

父親がずっと確保しようとしていた、いちばん前の真ん中の場所は、あっという間に埋まってしまいました。

自分の子どもをいい場所から撮りたい気持ちは、私にもわかります。

それでも、その場所を使いたいのは、ほかの保護者も同じです。

順番を守ることの大切さを、改めて感じた運動会でした。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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