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先輩の悪口を本人に誤送信した俺→返ってきた返信には、俺が見つけられなかったミスの場所がありました

  • 2026.10.15
ハウコレ

送れたのは、何度も打ち直した末の短い謝罪だけでした。先輩の返信を読み返すうちに、あの電話で先輩が何を引き受けていたのかを、俺はやっと知ります。

送ったばかりの吹き出しの横に、既読の表示がついていました。同期に愚痴を送ったはずなのに、画面の上に出ていたのは先輩の名前です。自分が何をしたのか、すぐには飲み込めませんでした。

電話を代わられた日

発端は、取引先からの1本の電話でした。金額が合わないと言われ、手元の見積もりを何度めくっても、どこがずれているのか分からない。黙り込んだ俺の横で、先輩が「代わるね」と電話を引き取りました。

先輩は謝りながら数字を確かめ、手際よく話をまとめていきました。隣で聞いていても、何を直すと約束したのか俺には追いつけませんでした。電話を返されたとき、頭を下げるのが精いっぱい。フロア中の視線が、自分に刺さっている気がしました。

先輩にはこれまでも「確認した?」と何度も声をかけられてきました。助けられるたびに、自分の出来なさを並べられているようで、素直にお礼が言えなかったのです。

画面の上に残っていた名前

帰りの電車で、先輩からメッセージが届きました。

「今日はお疲れさま。電話の件は気にしなくていいからね」

気遣いだと分かっていても、返事を打つ気にはなれませんでした。読み終えて画面を閉じたつもりで、同期への愚痴を打ち始めました。

「今日のおばさん、マジでウザかったわー」

送信してすぐに既読がつき、画面の上に先輩の名前が残っていることに気づきました。取り消そうかとも考えましたが、読まれたあとでは意味がありません。

名前で呼ばずにあんな言葉を選んだのは、自分の情けなさを同期に笑い飛ばしてほしかったからでした。

返ってきたのは仕事の話だった

言い訳を考えているうちに、先輩から返信が届きました。

「送る相手、間違えてるよ。ウザいおばさんから1つだけ。明日先方に送り直す見積もり、3ページ目の単価が古いままだから直しておいてね」

怒られる覚悟はしていました。けれど並んでいたのは、明日やるべき仕事の話でした。俺が見つけられなかった原因を、先輩はもう特定していたのです。

あの電話で、先輩は俺を責めることもなく、先方に謝って翌朝修正版を送る約束までしていた。それを俺は、あんな軽い言葉で片づけていました。

謝罪の文章を何度も打ちました。疲れていた、そういう意味じゃなかった。どれも言い訳にしか読めず、全部消して送ったのは短いメッセージです。

「すみませんでした。単価、直しておきます」

そして...

次の日、出社してすぐファイルを開くと、3ページ目の単価は以前のままでした。取引先が合わないと言っていたのは、ここだったのです。数字を直して印刷し、表紙に付箋を貼って先輩の席へ持っていきました。

「昨日は、すみませんでした」

頭を下げると、先輩は「数字、合ってたよ」とだけ言って、書類を受け取りました。付箋に書いた「電話、代わってくださってありがとうございました」について、何か言われることはありませんでした。

許してもらえたのかどうかは、まだ分かりません。ただ、あれから先輩に「確認した?」と聞かれても、前ほどすぐにうるさいとは思わなくなりました。返事をする前に、まず自分の資料を開くようにしています。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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