1. トップ
  2. エピソード
  3. 割り勘を1円単位で請求する友人をケチだと笑っていた私→結婚式の受付で知った、積立の正体

割り勘を1円単位で請求する友人をケチだと笑っていた私→結婚式の受付で知った、積立の正体

  • 2026.10.15
ハウコレ

受付で預かったお祝いの封筒の裏に、お金を出した覚えのない自分の名前がありました。式の前に急いで送ったメッセージへ、友人から届いた返事は短いものでした。

グループチャットの通知を開くと、その日の食事代が1円単位で並んでいました。学生時代からの4人で月に1度ほど集まるたび、会計を引き受けるのは決まって同じ友人です。細かいなと思いながら、私はいつも少し多めに送っていました。その多めの分のゆくえを、気に留めたこともありませんでした。

おつりはいらないと言ったのに

「今日は1人3,847円ね」

友人の投稿を見て、送金アプリに4,000と打ち込みました。

「4,000送っといた!おつりいらないよ」

返事はすぐでした。

「153円多いよ。返すね」

「じゃあ誰か結婚したときのお祝いにでも使って笑」

軽い気持ちで返すと、もう1人の友人も親指を立てたスタンプで続きました。笑っている顔の絵文字が並ぶ画面を見ながら、153円くらい受け取っておけばいいのに、と笑っていたのです。

友人は経理の仕事をしています。数字が合わないと気が済まない性分なのだろうと、勝手に納得していました。

1円の請求に添えたスタンプ

別の集まりのあと、友人から個別にメッセージが届きました。

「1円足りてなかったよ」

送金履歴を開くと、確かに1円少ない金額が表示されていました。1円くらい、というのが本音で、1円だけ送り直してお腹を抱えて笑うキャラクターのスタンプを添えました。

既読はすぐについたものの、返事はないまま。忙しいのだろうと、そのまま画面を閉じてしまいました。

ケチだな。口には出さなくても、そう思っていたのは確かです。

お祝いの封筒に並んでいた名前

4人のうちの1人の結婚式で、私は受付を頼まれました。ホテルのロビーで芳名帳の横に立っていると、列の途中にあの友人が並んでいたのです。

友人はご祝儀を出したあと、もう1つ封筒を差し出しました。

「これ、3人からの結婚祝い。あとで本人に渡してくれる?」

そう言うと、友人は挙式会場のほうへ歩いていきました。裏返すと新婦を除いた3人の名前が並び、お金を出した覚えのない私の名前もその中に入っていました。

列が途切れるのを待って、スマホを取り出しました。

「待って、私お金出してないよ?」

少しして届いたのは、短い返事と写真でした。

「出してるよ。5年分のおつり」

写真は2枚。1枚目は表紙に「積立」と書かれたノート、2枚目は日付と金額が名前ごとに並んだページで、私の欄の1行目には「153円」とありました。

「お祝いに使ってって言ったの、そっちだよ」

グループチャットを検索すると、あの日の自分の返事がそのまま残っていました。

「預かったお金だから、1円でもずれたら返せないでしょ」

そして...

次のゲストに声をかけられるまで、ペンを持ったまま2枚目の写真を拡大していました。

「ずっと細かいって笑ってた。ごめんね」

「知ってたよ。でも預かるって決めたのは私だから」

式のあと初めての集まりでも、友人は「今日は1人4,126円ね」と投稿しました。その金額を端数まで打ち込んで、送金ボタンを押したのです。

5年間、1円のずれも出さないように数え続けるのは、どんな気持ちだったのでしょう。あの写真は、消さずに残してあります。

(20代女性・販売職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ