1. トップ
  2. エピソード
  3. 「あとで返すから払っといて」毎回私に会計を任せる友人→今度は私が「同じこと」をしてみると…

「あとで返すから払っといて」毎回私に会計を任せる友人→今度は私が「同じこと」をしてみると…

  • 2026.10.14
ハウコレ

毎回会計を任せてくる友人に、一度だけ同じ言葉を返してみました。黙って財布を出した彼女に、店の外で手渡した白い封筒。その日の出来事をきっかけに、私はこれまでの会計の仕方を終わらせることにしました。

財布の小銭入れの奥に、レシートが少しずつたまっていきました。どれも大学時代からの友人と出かけた日のものです。捨てずに取っておく理由は、自分でもまだはっきりとは分かっていませんでした。

会計のたびに出る決まり文句

「あとで返すから払っといて」

レジの前に来ると、友人は決まってそう言い、先に店の外へ出ていきます。会計を済ませて追いかけると、スマホを見ながら「ありがとう」と笑うだけ。

もちろん返してはくれます。次に会ったとき、テーブル越しにお札を数枚こちらへ滑らせて。ただ、いつも少しだけ足りないのです。2,860円の日は2,000円、3,420円の日は3,000円。

「残りは次ね」

そう言って閉じる財布には、1万円札が何枚も重なって見えていました。

帰り際、持ち帰りのケーキを2つ私の会計に足した日もありました。箱は当然のように友人の手に。

「もういいよ」が通じない

半年が過ぎるころ、細かい残りを気にするのが面倒になり、こちらから切り出しました。

「細かいのはもういいよ。残りはなしで」

てっきり喜ぶと思っていたのに、彼女は首を横に振りました。

「それはだめ。ちゃんと返すから」

いつになく強い声。それなのに、次に会った日もまた「残りは次ね」です。

家に帰り、たまったレシートを机に並べてみました。友人が返し残した金額を書き出すと、9回分で合計7,640円。彼女が金銭的に困っている様子はありません。私を軽く見ているだけなら、残りを帳消しにする提案にすぐ飛びつくはずです。どちらの理由もしっくりきませんでした。

理由は分からないままでしたが、毎回立て替えては少しずつ踏み倒されるような関係を、これ以上続ける気にはなれませんでした。

今度は私が先にレジを離れて

次に会ったのは、友人が選んだ少しいいイタリアンでした。食事を終えてレジの前に立ったとき、彼女より先に口を開きました。

「あとで返すから払っといて」

友人は一瞬こちらを見て、黙って財布を取り出しました。

店の外で待つ間に、今日の私の分を封筒に入れました。出てきた友人にその封筒を手渡します。中には3,280円と、1枚のメモ。ケーキの日の分も含めて9回分の日付と店名、残された金額を書き連ね、最後に合計7,640円と記しておいたものです。

「私の分は全部、今返すね。そっちの残りも、今日で終わりにしたい。次からは、その場で別々に払おう」

彼女はメモから目を離さないまま、しばらく店の前に立っていました。やがて財布からお札と小銭を出し、私の手のひらに載せていきます。最後に少し間を置いて、こう言いました。

「100円だけ、次にさせて」

「だめ。全部」

友人は小さくうなずき、100円玉を私の手に置きました。

そして...

駅までの道で、友人はいつもの「残りは次ね」も、「またね」も口にしませんでした。改札の前で手を振ると、封筒を握ったまま小さく頭を下げただけ。

お金は、あの日すべて戻ってきました。あれから2週間、それでも疑問は残ったままです。前回の残りだけを次に返せば済むはずなのに、なぜ9回分もためていったのか。「細かいのはもういいよ」と言われたとき、なぜあそこまで強く拒んだのか。そして最後の100円を、どうしてあれほど手放したがらなかったのか。

小銭入れの奥は、すっかり空になりました。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ