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「クロワッサンは、もう出ませんか?」旅館の朝食でがっかりする老夫婦。その横で15個取った男性が始めた行動

  • 2026.10.12

最後の1個だけが残ったクロワッサン

1年ほど前、友人と温泉旅館に泊まった翌朝のことです。

朝食バイキングの名物は、焼きたてのクロワッサン。

置かれたかごの前には「数に限りがございます」という札が出ていました。

私が並ぶと、前には隣のテーブルに座っていた家族連れのお父さんがいました。

40代くらいの男性で、奥さんと小学生の子どもが2人います。

男性はトングでクロワッサンを次々と取り、トレーに積み上げていきました。

5個、6個と増え、10個を超えても止まりません。

さすがに気になって、私は声をかけました。

「あの、すみません。後ろにも並んでいるので…」

すると男性は振り返り、鼻で笑ったのです。

「こっちが先に並んでたでしょ」

それ以上は言えませんでした。

結局、男性が取ったのは15個。

かごには最後の1個だけが残り、私はそれを皿にのせて席へ戻りました。

しばらくすると、年配のご夫婦がクロワッサンの台へやってきました。

「すみません。クロワッサンは、もう出ませんか?」

係の女性は申し訳なさそうに答えます。

「申し訳ございません。本日の分は、もう終わってしまいまして…」

「ああ、そうですか。残念ね」

ご夫婦はがっかりした様子で、その場を離れていきました。

15個取った男性が、持ち帰ろうとした8個

隣のテーブルでは、あの男性が家族に話していました。

「限定なんて関係ない、早い者勝ちだろ」

奥さんはトレーを見て、困ったように言いました。

「でも、そんなに食べられるの?」

「残ったら包んで持って帰ればいいだろ。どうせ料金に入ってるんだから」

その言葉を聞いて、私は驚きました。

友人も小さな声でつぶやきます。

「さすがに多すぎるよね…」

ところが、それが男性にも聞こえてしまったようです。

こちらをじろりと見て、言い返してきました。

「文句があるなら、もっと早く来ればよかったんですよ」

私は何も言えず、自分の皿に残ったクロワッサンを見下ろしました。

せっかく楽しみにしていたのに、腹が立って食べる気になれません。

やがて家族が食べ終えるころ、男性のトレーには手つかずのクロワッサンが8個残っていました。

すると男性は紙ナプキンを取り、残ったクロワッサンを包んでかばんに入れようとしたのです。

係の女性が伝えた、静かな注意

そのとき、係の女性が男性のそばへ来ました。

「お客様、申し訳ありません。お料理のお持ち帰りはお断りしております」

男性は紙ナプキンを持ったまま、顔を上げました。

「えっ、でも、これ余っただけですよ?」

係の女性は落ち着いた声で続けました。

「はい。ただ、こちらは数に限りがございまして。今朝も召し上がれなかったお客様がいらっしゃるんです」

そして、トレーに残ったクロワッサンに目を向けました。

「一度お取りになったものは、ほかのお客様にお出しすることもできませんので…」

近くにいたお客さんも、その声に気づいて振り向きました。通路の向こうには、先ほどの年配のご夫婦もいます。

男性の顔は赤くなり、先ほどまでの強い口調が消えていました。

「いや、これは……その…」

言葉に詰まる男性の隣で、下の子が小さくつぶやきました。

「パパ、取りすぎだよ」

男性は何も言い返さず、紙ナプキンをトレーに戻しました。

そのまま黙って席を立つと、奥さんと子どもたちもうつむいたまま会場を出ていきました。

係の女性が、8個のクロワッサンが残ったトレーを下げていきます。

その姿に、年配のご夫婦のご主人が小さく会釈していました。

私は、最後まで残された8個が気になって仕方ありませんでした。

早く来た人が好きなものを選べるのは、バイキングの楽しみの一つです。

でも、食べきれないほど取ってしまえば、楽しみにしていたほかの人の分までなくなってしまいます。

旅館の朝食での出来事は、今でも忘れられません。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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