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「今のは、聞かなかったことにして」保育園からの電話で声が一変したクールな上司。翌朝、私の机に置かれたもの

  • 2026.10.12
「今のは、聞かなかったことにして」保育園からの電話で声が一変したクールな上司。翌朝、私の机に置かれたもの

赤ペンだらけで返ってきた、朝の資料

30代だった私が、以前勤めていた職場での話です。

直属の上司は40代の女性で、いつも冷静で仕事に厳しい人でした。

大きな声を出すことはありませんが、ひと言注意されるだけで、こちらの背筋が伸びるような上司です。

その朝も、上司は私を席に呼び、赤ペンで修正が入った資料を差し出しました。

「この資料、明日の10時までに直して」

「はい。すぐ確認します」

上司は小さくうなずくと、もう自分の仕事に戻っていました。

席に戻ると、隣の後輩がこっそり話しかけてきました。

「相変わらず、ちょっと緊張しますね…」

「うん。怒鳴られたことなんてないのにね」

上司にお子さんがいることは知っていました。でも、職場で家庭の話をすることはほとんどありません。

保育園からの連絡も普段は携帯電話に入るようで、会社の電話でそうしたやり取りを聞いたことはありませんでした。

「家でも、あんな感じなのかな」

私がつぶやくと、後輩も「どうなんでしょうね」と首をかしげました。

ところが、その日の昼過ぎ。

私たちの想像とはまったく違う上司の姿を見ることになったのです。

昼過ぎ、上司の机で鳴った1本の電話

昼過ぎ、上司の机にある会社の電話が鳴りました。

上司はいつもの落ち着いた様子で受話器を取りましたが、相手の話を聞いた途端、表情が変わりました。

「えっ、38度ですか…。わかりました。すぐ迎えに行きます」

その声に、思わず手が止まりました。

いつものきりっとした話し方とは違い、驚くほどやさしい声だったのです。

「あの、お水は飲めていますか?泣いてないですか?」

心配そうに眉を下げ、受話器の向こうへ何度も確認しています。

どうやら、お子さんの保育園からの電話だったようです。

携帯電話につながらず、会社まで連絡が来たのでしょう。

ふと隣を見ると、後輩も驚いた顔で上司を見ていました。

事務所のキーボードの音が一瞬途切れ、ほかの社員たちも顔を上げています。

もちろん、お子さんの発熱は心配です。

でも、普段とのあまりの違いに、私と後輩は思わず顔を見合わせてしまいました。

電話を切った上司は、周囲の視線に気づいたようでした。

「……え、みんな聞いてた?」

いつも冷静な上司が、珍しく戸惑っています。

「…今のは、聞かなかったことにして」

そう言って耳まで赤くなった姿に、私もつい笑みがこぼれました。

「大丈夫ですよ。お迎え、行ってください。資料は私たちでやっておきますから」

「……ありがとう。助かります」

上司は小さく頭を下げ、上着を手に急いで職場を出ていきました。

翌朝、上司はいつもの落ち着いた表情で出社しました。

10時前に修正した資料を届けると、上司は一通り目を通し、静かにうなずきました。

そして、しばらくしてから私の席までやって来ると、小さなお菓子の箱をそっと置いたのです。

「昨日の、口止め料」

「えっ、そんな。ありがとうございます」

上司は少し照れたように笑い、そのまま自分の席へ戻っていきました。

箱を開けると、中には動物の形をしたクッキーがきれいに並んでいました。

隣の後輩と顔を見合わせ、今度こそ二人で笑ってしまいました。

仕事に厳しいところは、あの日もその後も変わりません。でも、あの電話以来、上司のことが前よりずっと身近に感じられるようになりました。

思い出すと今でも少し頬が緩む、職場での忘れられない出来事です。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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