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「お風呂に携帯電話くらい、持って入ってもいいでしょ」大浴場で注意に反発した女性が、娘の一言で黙った瞬間

  • 2026.10.11

透明な袋に入れた携帯電話

数年前、友人と温泉旅館に泊まったときのことです。

夕食前に大浴場へ向かい、浴衣姿で脱衣所に入りました。奥の棚の前で友人と脱衣かごを二つ並べ、入浴の準備をしていました。

入口の横には、浴室の決まりを書いた札が貼られています。

しばらくすると、浴衣姿の女性が、小学3年生くらいの女の子を連れて入ってきました。

女性は入口の札の前で足を止めると、携帯電話を透明な袋に入れ、しっかりと口を閉じました。

「これなら濡れないし、お湯につかりながら続きが見られるね」

その様子を見ていた年配の女性客が、穏やかに声をかけました。

「あの、すみません。浴室には携帯電話を持ち込めないんですよ」

すると女性は、少し面倒くさそうな顔をしました。

「え?写真を撮るわけじゃないんだから、いいでしょ?」

「でも、そういう決まりですから…」

「お風呂に携帯電話くらい、持って入ってもいいでしょ」

女性の声が大きくなり、私も思わず手を止めました。

「せっかく旅行に来てるのに、いちいち細かいこと言われたくないんだけど」

年配の女性客は困ったように口を閉じました。

すると、携帯電話を持った女性が私たちのほうを振り向きました。

「そっちも、何か言いたいことある?」

「いえ、私は…」

突然話を振られ、私はそれ以上何も言えませんでした。隣の友人も、気まずそうに脱衣かごへ目を落としています。

せっかく温泉に来たのに、こんな空気になるなんて。

私はタオルを握ったまま、どうしたものかと戸惑っていました。

娘が読んだ注意書きと、仲居さんの一言

そのとき、入口からタオルの束を抱えた仲居さんが入ってきました。

50代くらいの、着物姿の方です。

ちょうどそのとき、女の子が入口の横に貼られた札を見上げました。

「あれ?ママ、ここに書いてあるよ」

女の子は札を指さし、声に出して読み始めました。

「『浴室に携帯電話を持ちこまないでください』だって。ほかのお客さんが写っちゃうことがあるから、だって」

「え…」

女性は娘のほうを振り向き、言葉に詰まった様子でした。

その声を聞いていた仲居さんも、親子のそばで立ち止まりました。

そして壁の札を手で示しながら、落ち着いた声で話しました。

「お嬢様のおっしゃるとおりでございます。写真を撮るおつもりがなくても、ほかのお客様に安心してご入浴いただくため、携帯電話の持ち込みはご遠慮いただいております」

女性は少し眉を寄せました。

「でも、本当に見るだけなんですけど…」

「申し訳ございません。皆様に同じようにお願いしているんです」

仲居さんの口調は終始穏やかでしたが、女性が携帯電話を持ち込むことは認めませんでした。

女性は何か言いかけたものの、それ以上は反論しませんでした。

しばらく手元の袋を見つめてから、携帯電話を取り出し、壁際の貴重品ロッカーに入れました。

カチリと鍵をかける音が聞こえます。

「ママ、行こう」

女の子が母親の手を引きました。

女性はうつむいたまま、娘と一緒に浴室のほうへ歩いていきました。年配の女性客の前を通るときも、顔を上げることはありませんでした。

その姿を見送った年配の女性客と、ふと目が合いました。女性はほっとしたように小さく笑いました。

仲居さんも私たちに一礼して、脱衣所を出ていきました。

私と友人は顔を見合わせ、ようやく肩の力が抜けました。

写真を撮るつもりがなくても、周囲の人は不安に感じることがあります。女の子の素直な一言と、感情的にならずに説明した仲居さんの姿が印象に残りました。

その後、私たちはようやく、ゆっくりと温泉を楽しむことができました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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