1. トップ
  2. エピソード
  3. 「お電話いただいていたので」店員さんの一言で知った、遅刻した私を待つ彼がしていたこと

「お電話いただいていたので」店員さんの一言で知った、遅刻した私を待つ彼がしていたこと

  • 2026.10.11
ハウコレ

スマホの充電が切れてから、どれくらい経ったのか分かりません。駅前の人波の向こうに、スマホを耳に当てて辺りを見回す彼が見えました。待ち合わせで彼を待たせたのは、付き合ってから初めてのことです。

待ち合わせで言われた一言

彼は、待ち合わせに遅れてくることが多い人でした。10分、20分は当たり前で、連絡が来るのはいつも約束の時刻を過ぎてから。付き合って半年ほど経った頃、30分以上待たされた日がありました。

「もう20分過ぎてるよ」「今どこ?」とメッセージを送り続けたのです。

ようやく現れた彼は、謝るより先にこう言いました。

「時間にうるさい女は無理」

目を合わせないままの一言でした。約束を守っている側がどうして責められるのか、納得はいきません。それでも、また言われるのが嫌で、その日から遅れを責めるのはやめました。

不思議なことに、それ以来、待ち合わせ場所に先に着いているのは彼のほうになっていきました。

駆け寄った私に向けられた言葉

その日、乗っていた電車が途中の駅で止まってしまいました。遅れると伝えようとした矢先、スマホの充電も切れたのです。ようやく駅に着いて駆け寄ると、彼はスマホを下ろし、早足でこちらに近づいてきました。

「よかった、何回かけてもつながらなくて」

「ごめん、電車が止まって、スマホの充電も切れちゃって」

事情を話し終えると、彼の口調が少し強くなります。

「店、予約してたんだけど」

遅れたのは自分。それは分かっていました。ただ、あれだけ待たされてきた相手から言われると、素直に謝る気持ちがしぼんでいきます。

「時間にうるさい女は無理って言ってたのは誰だっけ」

彼は一瞬こちらを見て、すぐに目をそらしました。

店員さんの一言

着いたのは、前に私が行ってみたいと話したことのある店でした。予約の取りにくい人気店で、いつ話したのかも思い出せないくらい、何気ない会話だったはずです。入り口で名前を告げると、店員さんがにこやかに言いました。

「お電話いただいていたので、お席はそのままにしてあります」

彼が店に連絡を入れてくれていた。それを知っても、さっきの口調を思い出すと、ありがとうの一言がなかなか出てきません。

そして...

帰り道、駅の手前で彼がぽつりと言いました。

「次からは、俺が先に待ってるから」

責められたのか、気づかわれたのか、よく分かりません。

家に帰ってスマホを充電すると、画面には彼からの不在着信がずらりと並んでいました。「時間にうるさい女は無理」と言った彼が、どうしてあんなに何度も電話をかけてきたのか。

次の待ち合わせに向けて、バッグにモバイルバッテリーを入れました。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ