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「待ち時間をネットで出してないの?」病院の受付で名刺を出して説教を始めた男性。だが、院長の一言に黙った瞬間

  • 2026.10.10

待合室で始まった、受付への説教

60代の私が通っている、町のかかりつけの医院での話です。

そこは患者が多く、待ち時間が長くなることも珍しくありません。

受付を済ませてから、いったん買い物に出る人もいるほどです。

その日の昼も、待合室には10人ほどの患者がいました。

私も受付から少し離れた席に座り、新聞を読んでいました。

すると、スーツ姿の50代くらいの男性が、何度も腕時計を確認し始めました。

しばらくすると男性は立ち上がり、受付のカウンターへ向かいました。

「すみません、あとどれくらいかかりますか?」

40代くらいの受付の女性が、申し訳なさそうに答えました。

「今日は少し混んでいまして…。あと30分以上はかかりそうです」

その返事を聞いた途端、男性の表情が変わりました。

「えっ、あと30分以上?待ち時間をネットで出してないの?」

「申し訳ありません。今はそういったご案内をしていなくて…」

「今どき、どこの医院でもやってますよ。患者をこんなに待たせて、何とも思わないんですか?」

声は次第に大きくなり、待合室にいる全員に聞こえるほどでした。

受付の女性は何度も頭を下げていましたが、男性の話は終わりません。

院長が伝えた、思いがけない一言

やがて男性は、かばんから名刺を1枚取り出し、カウンターに置きました。

「こういうシステム、導入したほうがいいですよ。業者を紹介しましょうか。これ、院長先生に渡しておいてください」

どうやら男性は、待ち時間を表示する仕組みについて、いろいろと知っているようでした。

そこからは、順番を管理する仕組みや、取引先の医院についての話が続きました。

受付の電話が鳴り、女性が受話器に手を伸ばしても、男性は話をやめません。

周囲からも小さなため息が聞こえます。私も新聞をたたみ、困ったものだと思いながら様子を見ていました。

10分近くたったころ、奥の診察室から院長が出てきました。

院長は男性のそばで立ち止まると、穏やかな声で話しかけました。

「ご意見ありがとうございます。待ち時間のことですね」

男性は待っていたとばかりに、院長のほうへ体を向けました。

「そうなんですよ。今はネットで確認できるところも多いでしょう?」

「そうですね。ただ、ひとつお願いしてもよろしいですか」

院長は受付の女性に目を向けてから、続けました。

「待ち時間を短くするには、受付の仕事を止めないことも大切なんです。こうして長くお話しされると、ほかの業務が進められなくなってしまいますので」

男性は一瞬、言葉に詰まりました。

隣に座っていた年配の女性が、小さな声でつぶやきました。

「いちばん待たせてたの、あの人じゃないの……」

私も思わず、うなずきそうになりました。

院長は男性を責めることなく、最後にこう伝えました。

「ご意見はありがたいです。ですが、今は皆さんの診察を進めたいので、お名前が呼ばれるまでお待ちいただけますか」

「……分かりました」

男性は気まずそうに名刺をかばんへ戻し、待合室の端のいすに座りました。

受付の女性も、ようやく普段の業務に戻れたようでした。

それから5分後、私の名前が呼ばれました。

診察室へ向かう途中、先ほどの男性を見ると、かばんを膝に抱え、静かに座っていました。

待ち時間を短くしてほしいという気持ちは分かります。私だって、早く診てもらえるに越したことはありません。

ただ、その不満を伝えるために長々と受付の仕事を止めてしまっては、かえって周囲を待たせることになります。

院長の落ち着いた対応が、今でも印象に残っています。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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