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「10年はいてる、いちばんのお気に入りなの」夫の忠告を無視してはき続けたサンダル。通勤した私が、駅の改札前で気づいた異変

  • 2026.10.10
「10年はいてる、いちばんのお気に入りなの」夫の忠告を無視してはき続けたサンダル。通勤した私が、駅の改札前で気づいた異変

夫の忠告を聞き流した朝

私には、10年間はき続けているお気に入りのサンダルがありました。

底には3センチほどの厚いスポンジが使われていて、長く歩いても足が疲れません。

夏になると、通勤にも休日のお出かけにも、ほとんど毎日のようにはいていました。

ある朝、いつものように玄関でサンダルをはいていると、後ろから夫に声をかけられました。

「ねえ、そのサンダル、そろそろ買い替えたら?」

夫が見ていたのは、色あせたサンダルのつま先です。

「えー、まだ全然はけるよ。10年はいてる、いちばんのお気に入りなの」

「いや、10年もはいてるから心配なんだけど……」

「大丈夫だって。これ、歩きやすいんだから」

私は夫の心配を軽く受け流し、いつもどおり家を出ました。

ところが、駅へ向かって歩いていると、なんだか足もとの感覚がおかしいのです。

最初は気のせいかと思いましたが、歩くほどに少しずつ背が低くなっているような気がします。

「あれ? なんか変だな…」

それでも、寝不足で感覚がおかしいのだろうと思い、そのまま駅へ向かいました。

改札の前で気づいた、まさかの異変

駅の改札の手前まで来たとき、どうしても気になって足もとを見下ろしました。

「……えっ!?」

思わず声が出ました。

なんと、サンダルの底にあった厚いスポンジが、ほとんどなくなっていたのです。

よく見ると、スポンジ部分がぼろぼろに崩れ、薄い底だけが残っていました。

振り返ると、歩いてきた方向の通路にも、小さなスポンジのかけらが落ちています。

「うそでしょ…。歩いてる間に取れちゃったの?」

10年間ずっと一緒だったサンダルが、まさか通勤途中でこんな姿になるなんて。

夫の言葉が頭をよぎりましたが、今さら引き返す時間もありません。

私は何事もなかったような顔で改札を通りました。

電車の中では、足もとを見られるのが恥ずかしくて仕方ありません。

薄くなった底をかばうように、つり革につかまって、ついかかとを浮かせてしまいます。

そのせいで、職場に着くころにはふくらはぎまで疲れていました。

同僚も大笑いした、10年目の結末

昼休み、私は隣の席の同僚に、問題のサンダルを見せました。

「ねえ、ちょっとこれ見てよ。朝、こうなっちゃったの」

「えっ、何これ!?底、どうしたの?」

「駅まで歩いてたら、なくなっちゃった…」

「ええっ!?そんなことあるの!?」

同僚は目を丸くしたあと、こらえきれずに吹き出しました。

「ちょっと待って、おもしろすぎる!それで電車乗ってきたの?」

「そうなの!もう恥ずかしくて!」

同僚が涙を浮かべて笑うので、私までおかしくなってしまいました。

朝はあんなに焦ったのに、二人で笑っているうちに、すっかり笑い話になっていました。

帰りは、職場に置いてある上ばき用のサンダルを借りました。

駅から家までの道では、朝落としたと思われるスポンジのかけらが、まだいくつか残っていました。見つけたものを拾いながら帰宅すると、夫が不思議そうに私の手を見ました。

「……何それ?」

「サンダルの底」

「えっ、本当に壊れたの?」

「うん。10年分の思い出が、道に散らばっちゃった」

そう言うと、夫はあきれたように笑いました。

次の休日、私は夫と一緒に新しいサンダルを買いに行きました。

売り場で夫は、サンダルの底を指で押して確かめると、まじめな顔で一言。

「これなら、しばらくは道に落ちないな」

その言葉に、思わず二人で笑ってしまいました。

どんなに気に入ったものでも、いつかは寿命が来るもの。あの日以来、靴の底だけは、ときどき確認するようになりました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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