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「駅のトイレに滝があるんだって」母とわざわざ確かめに行き、入口で聞こえてきた本当の言葉

  • 2026.10.10

夜の居間で、母が身を乗り出した

ある平日の夜、僕は仕事帰りに実家へ寄りました。

ふだん車で出かける母は、その日は車を点検に預けていたため、久しぶりに電車を使ったそうです。

お茶をいれてくれた母は、座るなり楽しそうに身を乗り出しました。

「ねえ、今日すごいこと聞いたの」

「何?」

「駅のトイレに滝があるんだって」

思わず、手にしていた湯のみが止まりました。

母によると、駅のトイレで手を洗っていたとき、天井のスピーカーから案内が流れてきたそうです。

「滝って、水が流れるあの滝?」

「そうよ。ちゃんと『滝のトイレ』って聞こえたもの」

母は自信満々です。

最近の駅なら、水を使った飾りでもあるのだろうか。僕も少し気になってきました。

「じゃあ、土曜に見に行ってみる?」

「行く行く!」

母は子どものようにうれしそうに笑いました。

トイレの入口で聞こえた、本当の言葉

土曜の昼、僕の運転する車で駅へ向かいました。

母は助手席で、「どのくらいの滝かしら」とまだ楽しみにしています。

駐車場に車を止め、改札の手前にあるトイレまで歩きました。

入口の前で足を止めた、そのときです。頭上のスピーカーから女性の声が流れてきました。

母が僕の腕をつかみます。

「ほら、これよ!」

僕も耳を澄ませました。

「多機能トイレは、こちらです」

目の前の案内板にも「多機能トイレ」と書かれています。

「母さん……『多機能』だよ」

「え?」

母は案内板をじっと見つめました。数秒たって、ようやく意味が分かったようです。

「なんだ。滝じゃないのね」

その残念そうな声に、僕は吹き出してしまいました。母もつられて笑い出します。

帰りに売店でお茶を買い、ベンチに座ってからも、しばらく2人で笑っていました。

帰りの車で、母が窓の外を見ながらぽつりと言いました。

「でも、滝のあるトイレ、本当にあったら人気になると思わない?」

「それはちょっと見てみたいかもね」

それ以来、駅で「多機能トイレ」という案内を耳にするたび、僕はあの日の母のうれしそうな顔を思い出します。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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