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「先生、1匹だけ色のちがうたぬきがいるよ」茶色のたぬきに1匹だけ緑を混ぜた私。思わぬ聞き間違いが発覚した瞬間

  • 2026.10.9
「先生、1匹だけ色のちがうたぬきがいるよ」茶色のたぬきに1匹だけ緑を混ぜた私。思わぬ聞き間違いが発覚した瞬間

先輩の説明は「抹茶色ね」

私は保育園で働いています。秋の発表会に向けて、教室の壁を飾る絵を先生たちで手分けして作ることになりました。

紙で作る大きなたぬきが5匹で、私はそのうちの1匹を任されました。

作り方を教えてくれたのは、40代の先輩です。

お昼前の教室は、子どもたちの歌声や足音でとてもにぎやかでした。

先輩は型紙を渡しながら、手早く説明してくれました。

そのとき、私の耳にはこう聞こえたのです。

「大きさは、この型紙のとおりね。色は抹茶色ね」

「抹茶色ですね。わかりました」

ところが私の返事は、ちょうど上がった子どもたちの歓声にかき消されました。

先輩も泣きだした子のほうへ向かってしまい、それ以上確認することはありませんでした。

「たぬきが抹茶色って、珍しいな…」

少し気にはなりましたが、毎年すてきな飾りを作っている先輩のことです。

何か意図があるのだろうと思い、私は画用紙の棚からきれいな緑色を選びました。

それから3日。子どもたちの昼寝の時間を使って、耳を切り、おなかを貼り、しっぽのしま模様まで1本ずつ仕上げました。

完成したたぬきを見て、自分ではなかなかよくできたと思っていました。

壁に並んだ5匹を見て、やっと気づいた

発表会の前日の夕方。子どもたちが園庭で遊んでいるあいだに、私は完成したたぬきを教室へ運びました。

壁には、先輩が用意した4匹がすでに貼られています。

真ん中の空いた場所に自分の1匹を貼り、一歩下がって全体を見た瞬間、私は固まりました。

茶色、茶色、緑、茶色、茶色。

「……え?」

そこへ、テープを取りに行っていた先輩が戻ってきました。

私の少し後ろで壁を見上げたまま、しばらく黙っています。

やがて、こらえきれなくなったように笑いだしました。

「あのね、私、『茶色』って言ったのよ」

「えっ……私、『抹茶色』って聞こえてました」

「だから緑だったのね。びっくりした」

そこで初めて、すべてがつながりました。私は恥ずかしくなり、慌てて言いました。

「すみません。今から作り直します」

ところが、そのとき園庭から子どもたちが戻ってきました。

先頭にいた男の子が壁の前で足を止め、緑色のたぬきを指さします。

「先生、1匹だけ色のちがうたぬきがいるよ」

私は思わず両手でほおを押さえました。

すると、ほかの子どもたちも次々に集まってきました。

「ぼく、これがいい!」

「わたしも、この子好き!」

思いがけず、緑色のたぬきは子どもたちの人気者になり、その場で名前までつきました。

その様子を後ろから見ていた先輩が笑います。

「もう作り直さなくていいんじゃない?これでいこう」

発表会当日には、保護者の人たちも緑色のたぬきに気づき、その前でわが子の写真を撮る姿が見られました。

片づけのとき、先輩が私の肩をぽんとたたきました。

「来年も1匹お願いね。今度は色、任せるから」

次の年、私が作ったたぬきは青でした。

最初はただの聞き間違いだったのに、それ以来、園の壁には毎年1匹だけ色のちがうたぬきが並んでいます。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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