1. トップ
  2. エピソード
  3. 男の子「持って帰っていいの?」→「いいのよ。お金払ってるんだから」旅館でパンをバッグに入れた母親が、出口で言葉を失った瞬間

男の子「持って帰っていいの?」→「いいのよ。お金払ってるんだから」旅館でパンをバッグに入れた母親が、出口で言葉を失った瞬間

  • 2026.10.9

皿に山のように積まれたパン

数年前、家族で旅館に泊まったときのことです。

朝食のバイキング会場で、となりのテーブルには40代くらいの母親と父親、小学生くらいの男の子と女の子が座っていました。

母親は料理を取りに行くたびに、パンや果物をたくさん持ってきます。

テーブルには、まだ手をつけていない料理がいくつも残っていました。

パンの台では、背伸びをした女の子が手でパンを選んでいました。

すると、旅館の制服を着た40代くらいの係の女性が、そっとトングを差し出しました。

「こちらのトングを使ってくださいね」

その声に気づいた母親が席から振り向きました。

「子どもなんだから、仕方ないでしょ」

係の女性はそれ以上言い返さず、女の子が触れたパンを台から下げました。

母親は何事もなかったように食事を続けています。

パンが次々とバッグの中へ

食事の終わりごろ、父親が先に部屋へ戻りました。

すると母親は大きなバッグをひざに乗せ、皿に残っていたパンを次々と中へ入れはじめたのです。

男の子が不思議そうにバッグをのぞきこみました。

「それ、持って帰っていいの?」

「いいのよ。お金払ってるんだから、取った分はうちのでしょ」

母親はそう言うと、残っていたバナナもバッグへ入れました。

「パンはバッグに入れてちゃんと持って帰るの。残すの、もったいないでしょ」

私は思わずその様子を見てしまいました。すると母親と目が合い、怪訝そうな顔をされます。

「何か?」

旅行先で知らない人ともめたくはなく、私は何も言わずに目をそらしました。

出口で呼び止められた母親

しばらくして会場を出ようとすると、母親もふくらんだバッグを肩にかけ、男の子と女の子を連れて出口へ向かっていました。

私たち家族は、そのすぐ後ろを歩いていました。

そこへ、先ほどの係の女性が母親に声をかけました。

「お客様、申し訳ありません。お料理のお持ち帰りはご遠慮いただいております」

母親は足を止め、首をかしげました。

「何のことですか?何も持ってませんけど」

そのとき、男の子が母親を見上げました。

「ママ、さっきバッグに入れたパンのことだよ」

母親は一瞬言葉を失い、顔を赤くしました。

やがて黙ってバッグを開けると、パン6個とバナナを取り出します。係の女性はそれを受け取りました。

「ありがとうございます」

女性はそれだけ言って頭を下げました。

母親は何も言わず、子どもたちを連れて足早に会場を出ていきました。先ほどまでふくらんでいたバッグが小さくなっているのを見ながら、私は何ともいえない気持ちでその後ろ姿を見送りました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ