1. トップ
  2. スポーツ
  3. 「人生は博打」15歳で渡米した女子プロ、背中を押した母の言葉とは?

「人生は博打」15歳で渡米した女子プロ、背中を押した母の言葉とは?

  • 2026.10.9

ツアーで活躍しているプロたちは誰もが自分のゴルフをよりよいものにしていくためにさまざまなことを考え、走り続けている。どんなことを考え、どのようにゴルフと向き合っているのか。インタビューをとおして、その姿を探っていく。

泉田琴菜がゴルフをはじめたのは14歳。昨今の傾向からすると少し遅いスタートだった。しかし、その直後アメリカへのスポーツ留学を決断してそこで腕を磨き、帰国後2021年のプロテストに合格。
プロ4年目の25年、キャリアハイの成績で来シーズンのフル出場を勝ちとった。25 年7月の優勝争いをした大会にクローズアップしながら、彼女のこれまでとこれからについて話してもらった。

「今シーズンの結果はこれまで経験してきたことがうまくつながってくれたから」

──今シーズンを振り返ってください。

泉田 シード権を獲って終わることができました︒それを目指してガンバってきたことが結果になってよかったです。

──点数をつけるとしたら?

泉田 60点くらいですかね。これまではシーズンが終わる前にQT(来季出場のための予選会)のことを考えなければいけなかったのですが、今年は前半調子がよかったので、欲が出たのかもう少し上の目標を目指すようになりました。そのため、いつもより自分に期待をしてしまったぶんこの点数です。

──好調の要因は?

泉田 オフにスイングを変えてみました。今まではアップライトに構えていたのを真逆(フラット)にしたのがハマってくれたのと、スタートから好結果が出ていたので、普段より気持ちが落ち着いていたのかなと。順位ばかり気にしていた昨年までと違って、そのときどきで自分のプレーを客観視できて
いたように思います。

──それは昨シーズンまでにはなかった感覚ですか?

泉田 予選落ちも多かった昨シーズンは、そんな余裕はなかったですね。でも、そこで経験してきたことや悔しい思いとかがうまくつながってくれて、25年はよい結果になったのかなと思っています。

──7月の「ミネベアミツミレディス」でのプレーが今年の象徴といえますね。

泉田 初優勝はできなかったですが、いい経験ができた大会です。

──最終日優勝争いのなか、後半の耐えるゴルフは見事でした。

泉田 ダボスタートになったのですが、そのあとパー5でバーディが獲れて、ボギーを打たないように集中できていました。

──18番、2位がかかった最後のパーパットではガッツポーズが出ましたね。

泉田 普段はあまりやらないんですけど、あのときは自然に出てしまいました。後日、解説の茂木(宏美)さんに「あんなにいいゴルフができるんだから、もっと自信をもってプレーしなさい」っていっていただきました。

「鳥肌が立つような最終日のあの大歓声をまた味わいたいんです」

──あの試合のあと、かなり反響があったのでは?

泉田 そうですね。「惜しかったね」とか「ナイスプレー」と声をかけていただいたり、ありがたいことにインスタのフォロワーが増えました(笑)

──それは何よりです(笑)。さて、その試合以降、それまでの好調に少し陰りが見えてきたようでしたが、何か変化があったのですか?

泉田 「ミネベアミツミ」で2位タイにはなれたのですが、優勝ができなかった事実を前にして、新たにやることを増やしすぎたり、逆にやらなければいけないことを後回しにしたりと、試行錯誤を繰り返すうちに、何を目指しているのかわからなくなってしまいました。後半戦は「ゴルフがまとまっていない」と自分自身感じていました。

──できるようになった自分に求めるものが多くなり、今までのバランスが崩れてしまった?

泉田 そうなんだと思います。それと体力的にもつねに上位でやっている選手と比べたらまだまだだな、とも思いました。

──来季の巻き返しのために今オフの課題は?

泉田 まずはスイングです。テーマは「フェードを極める」。飛距離の出るフェードボールを打ちたいと思っています。それからトレーニングは「有酸素運動」を多く取り入れて身体機能を上げていきます。走るのはあんまり好きではないのですが、メンタル面の強化も兼ねてガンバります。

──ゴルフに対して今1番のモチベーションはなんですか?

泉田 応援してくださるギャラリーやスポンサーの方、家族の存在が大きいです。ただ、7月の「ミネベアミツミ」最終日の雰囲気や大歓声に鳥肌が立っている自分に気づきました。「これがプロゴルファーなんだ。みんなこれを求めて上位で戦っているんだ」って。あの雰囲気をこれからもずっと味わいたいです。

「15歳で渡米を決意背中を押した母の言葉」

──高校からアメリカのIMGアカデミーに行くことになりますね。それまで海外で生活するなんて想定していましたか?

泉田 いえ、まったく。どうしようかと迷っていたら、母が「人生は博打なんだから何かに賭けないと何もはじまらない。あなたが行きたいと思うなら行きなさい」と。それなら行ってみようって決めました(笑)

──お母さまもすごいですが、泉田プロのその決断力もすごい(笑)

泉田 卒業後に帰国してプロテストを受けましたが、2021年6月(コロナで延期された2020年のぶん)の2度目のチャンレンジでは、1打差で通過できませんでした。ここで気持ちが切れてしまってゴルフをやめようかと思いましたが、この年は11月にもう1回(正規の2021年ぶん)プロテストがあったんです。当時のコーチやまわりの人たちからの助言もあって、気持ちを入れ替えてその1回だけはガンバろうと。

──結果3位で見事に合格でした。

泉田 よい意味で「ゴルフをやらざるを得ない」状況がつながってくれてプロになれたような気がします。母が米国留学前にいってくれた「人生の博打」は、これでようやくスタートラインに立てたのかな、と思います。

──プロテストに合格できたのだからその博打、まずは1勝でよいのでは?では最後に今後の目標を教えてください。

泉田 「TOTOクラシック」や「リコーカップ」につねに出られるような順位でプレーし続けたいです。今年途中まではそれを目指せるところにいたので、来年こそはと思っています。

プレー中の雰囲気からかなりストイックなタイプの選手と思っていたが、実際に話してみた泉田琴菜はもっと軽やかだった。

「必要以上に自分を追い詰めない」と、スランプにならないコツを知る彼女は、今オフのスイング強化によって「鳥肌が立つような優勝争いの雰囲気」をこれから何度も経験するだろう。そのなかのどこかで初優勝を飾れるはずだ。

いかがでしたか? これからの泉田プロの活躍に期待が高まりますね!

泉田琴菜
●いずみだ・ことな/1999年生まれ、新潟県出身。2025年シーズンは7月の「ミネベアミツミレディス」で優勝争いをするなどの好成績をあげ、プロ4年目にして初のシード権を獲得。オフはスイング強化に取り組み、来季は初優勝を目指す。加賀電子所属。
Instagramアカウント:kotona_izumida

文=ひよこきんぎょ
写真=小林司
撮影トーナメント=ワールドレディス サロンパスカップ

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ