1. トップ
  2. マンガ
  3. 会議資料も休日の在庫確認も載っていない1枚の資料→課長の頼みを断った私に、部長が出した紙

会議資料も休日の在庫確認も載っていない1枚の資料→課長の頼みを断った私に、部長が出した紙

  • 2026.10.8
ハウコレ

先輩がいなくなった翌週、課長から当たり前のように頼まれた休日の作業。何度めくっても、資料のどこにもその仕事は載っていません。私が口にしたのは、引き受ける返事ではありませんでした。

先輩から手渡された引き継ぎ資料は、クリップもいらないほど薄いものでした。紙は1枚きりで、並んでいるのは箇条書きの項目が数行だけ。新卒で入ってから、この席の仕事はほとんど先輩に教わってきたのですが、その量とはどうしても釣り合いませんでした。

項目が数行しかない引き継ぎ資料

受注の入力、請求書の発行、電話の取り次ぎ、備品の発注。書かれていたのは、普段から横で手伝っている作業ばかりです。

先輩が課長に頼まれて会議の資料を作っていたことも、人のいない倉庫で在庫の表をつけていたことも知っています。そのどちらも、紙には載っていませんでした。

「これだけ、ですか?」

紙から顔を上げると、先輩はペンの先で資料の上をトンと叩きました。

「書いてあることが、この席の仕事だよ」

説明はそれきりで、先輩は自分の机の片付けに戻っていきました。退職前で忙しくて、急いでまとめたのだろう。そう考えることにして、足りない分は自分で覚えようと、手帳に先輩の作業を書き出し始めました。

課長の頼みと、どこにもない項目

先輩が会社を出た翌週、課長が私の机にやってきました。

「休みの日の在庫確認、次からよろしくね」

先輩が休日にも出てきていたことを、そこで初めて知りました。引き出しから資料を出して、上から順に指でなぞっていきます。在庫の文字は、どこにもありません。

先輩がペンで叩いた紙を、もう1度見下ろしました。

「引き継ぎ資料に入っていないので、部長に確認してもいいですか?」

課長は「いや、そこまでしなくても」と言いかけて、口を閉じてしまいました。

部長の引き出しから出てきた、細かい字の紙

資料を持って部長の席へ行くと、部長は引き出しから別の紙を1枚取り出しました。

「その件は、退職の面談で報告を受けています」

退職の面談で、先輩が置いていったものだそうです。会議資料の作成、休日の在庫確認、急な発送の立ち会い。私の資料には1つもなかった作業が、かかった時間と一緒に、紙の端まで小さな字で並んでいました。後任には渡していない、と先輩は話していたといいます。

数日後の課の打ち合わせで、部長はこの紙をもとに仕事の割り振りを見直すと告げました。休日の作業は申請を出したうえでの当番制に、会議資料は課長が自分で作ることに。課長は手元の書類に目を落としたまま、うなずいていました。

あの薄い1枚は、急いで作られたものではなかった。先輩が抱えてきた分を、私の席に持ち込ませないための厚さだったのだと思います。

そして...

帰りの電車で、先輩にメッセージを送りました。

「資料に書いてないことは、断れました」

返事はすぐに届きました。

「それでいいんだよ」

手帳に書き出していた先輩の作業のページを、家に着いてから1枚破って捨てました。引き出しの資料は、あの日と同じ1枚のままです。

(20代女性・営業事務)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ