1. トップ
  2. エピソード
  3. 「汚い手で触るな!」お釣りで指が触れただけで怒鳴った男性。だが、駆けつけた店長が見ていたもの

「汚い手で触るな!」お釣りで指が触れただけで怒鳴った男性。だが、駆けつけた店長が見ていたもの

  • 2026.10.8
「汚い手で触るな!」お釣りで指が触れただけで怒鳴った男性。だが、駆けつけた店長が見ていたもの

週末のレジで始まった怒鳴り声

5年ほど前、私はドラッグストアのレジでアルバイトをしていました。

週末の夕方は特に混み合い、その日も私のレジには10人以上が並んでいました。

順番が来たのは、60代くらいの男性です。

かごをレジ台に放るように置くと、私の顔も見ずに言いました。

「おい、早くしろ。何分待たせるんだ」

「お待たせいたしました。2380円でございます」

男性は財布からお札を出し、指をぺろりとなめながら1枚ずつ数え始めました。

何度か数え直したあと、5千円札をトレーに置きます。

私はお釣りの2620円を確認して差し出しました。

そのとき、ほんの少しだけ私の指先が男性の手に触れてしまったのです。

すると男性は勢いよく手を引き、触れたところを服でこすりました。

「汚い手で触るな!」

「申し訳ございません」

すぐに頭を下げましたが、男性の怒りは収まりません。

「不潔なんだよ。手袋もしないでレジに立つな」

隣のレジの先輩が、裏で荷受けをしていた店長を呼びに行きました。

その間も男性は「教育がなっていない」と声を上げ、レジ台をこぶしでたたきます。

怒鳴り声は10分近く続き、列はさらに長くなっていました。

私は何度謝っても終わらない状況に、袋を持つ手の震えを止められませんでした。

店長が見ていた男性の手元

やがて店長が売り場の奥から駆けつけました。私の横に立つと、まず男性の話を遮らずに聞きます。

「俺はな、札も1枚ずつ数えて、きちんと出したんだ」

男性はそう言いながら、お釣りのお札を取り出しました。

そして再び指をなめ、お札をめくってみせたのです。

店長はその手元を見てから、落ち着いた声で言いました。

「この者は、そのお札を素手でお預かりしています。今回、手が触れたのは故意ではありません。その点はご理解いただけますでしょうか」

男性はしばらく黙っていました。

すると列の中ほどにいた年配の女性が、小さな声でつぶやきました。

「どっちが不潔なんだか」

その声が聞こえたのか、周囲からくすりと笑う声がもれました。

男性は何か言いかけましたが、結局そのまま口を閉じます。

そして商品の袋をつかむと、列の横を抜けて早足で店を出ていきました。

店長が私にかけてくれた言葉

自動ドアが閉まると、店長は私にだけ聞こえる声で言いました。

「手、洗っておいで。次のお客様は、私が打つから」

張りつめていたものが、そこでようやく少しほどけました。

私がレジを離れようとすると、列の先頭にいた女性がこちらを見て、そっと会釈をしてくれました。

怒鳴られている間は、自分が何かひどいことをしてしまったような気持ちになっていました。

だからこそ、店長が感情的にならず、起きたことを一つずつ確認してくれたことが、そのときの私には何よりありがたかったです。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ