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「最後がトンなのは間違いない」スープのトッピングを思い出せない母娘→台所で笑った理由

  • 2026.10.7

夕方の台所で、名前が出てこない

40代の私が、週末に実家へ帰ったときのことです。

夕方、70代の母と台所に並んで、夕飯のスープを作っていました。

鍋の横には、白いスープ皿が人数分並んでいます。

母と私は昔から、物の名前がすぐに出てこないと、思いついた言葉を次々に口にしてしまいます。

たいてい途中から、何の話をしていたのか分からなくなる親子です。

その日も、鍋をかき混ぜていた母が、ふいに手を止めました。

「スープに乗ってる、カリカリのやつ。ほら、最後が『トン』の」

「ああ、あれね。……なんだっけ?」

頭には、小さくて四角いカリカリしたものが浮かんでいます。それなのに、名前だけが出てきません。

「待って。私も分かってるのに、出てこない」

「トンなのよ。最後がトンなのは間違いないの」

母が妙に自信たっぷりに言うので、私まで「トン」だけは絶対に合っているような気がしてきました。

「トン」で終わる言葉を並べた結果

母が少し考えてから、ぽつりと言いました。

「プランクトン」

「それ、海にいるやつでしょ。じゃあ……スケルトン」

「骨じゃない。バドミントン」

「それはスポーツ」

お互いに答えが違うことだけは分かります。

「じゃあ、ポントン」

私が思いつきで口にすると、母が吹き出しました。

「何よ、ポントンって」

「私にも分からない」

そこからは、もう答え探しというより言葉遊びでした。

プランクトン、スケルトン、バドミントン。最後には2人で「トントントン」と言いながら、なぜか体まで揺れ始めます。

お玉を持った母と菜箸を持った私がコンロの前で言い合っていると、居間から父が台所をのぞきました。

父はしばらくこちらを見ていましたが、何も言わず、あきれたような顔でまた居間へ戻っていきました。

その直後、母が鍋の横に置いてあった袋に目をやりました。

一瞬黙ったあと、ぽんと手を打ちます。

「……クルトンよ!」

袋の中には、スープに乗せるために買ってきたカリカリのパンが入っていました。

「それだ!」

答えは最初から、すぐ目の前にあったのです。

母は笑いながら慌てて火を止めました。私もおかしくてたまらず、その場にしゃがみ込みます。2人とも声が出なくなるほど笑っているうちに、スープは少しだけ煮つまっていました。

それからというもの、何かの名前が思い出せないとき、母と私は「トントントン」と言い合うようになりました。

父は今でも、その合図が聞こえてくると、そっと台所から離れていきます。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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