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「夜は静かですからね」と笑った上の階の男性。0時の寝返りまで知られていた私が感じた怖さ

  • 2026.10.7

郵便受けに入っていた、1枚の便箋

賃貸マンションの3階に、1人で住んでいる。真上の4階には50代くらいの男性がいて、顔を合わせるのはエレベーターや1階の郵便受けの前くらいだった。

ある晩、仕事から帰って郵便受けを開けると、便箋が1枚入っていた。上の階の男性からで、「夜中の足音が響いて眠れないので、少し気をつけてもらえませんか」と書かれていた。

私は昼間は仕事で留守にしており、夜も11時ごろには布団に入る。大きな音を立てている覚えはなかったが、建物では思わぬ音が響くこともあるのだろうと思った。

それからは厚いスリッパを履き、夜はなるべく静かに歩くようにした。

数日後、郵便受けの前で男性と会ったので、私から声をかけた。

「手紙、読みました。夜は11時ごろには寝ているんですが……気をつけますね」

「ありがとうございます。結構、響いてくるんですよ」

男性は穏やかに笑った。これで済むならよかった、とそのときは思った。

それから2週間ほどたった夜。私は布団に入ったものの、なかなか眠れずにいた。

枕元の時計が0時を回ったころ、寝返りを打った。その直後だった。

ドン、ドン。

真上の天井から、床を強く突くような音がした。

朝のエレベーターで言われた一言

翌朝、3階でエレベーターを待っていると、4階から下りてきた箱の中に、あの男性が1人で立っていた。

「おはようございます」

「おはようございます。今朝は冷えますね」

いつもと変わらない、やわらかい声だった。

扉が閉まり、エレベーターが動き出したとき、男性がふいに言った。

「ゆうべ、0時ごろまで起きていましたよね」

私は思わず男性の顔を見た。

寝返りを打っただけだった。それでも、その音まで聞こえていたのだろうか。

「……そんなに響いてますか?」

「ええ。夜は静かですからね」

男性はそう言って、軽く笑った。

それから私は、さらに物音を気にするようになった。

ある夜、水を飲みに行き、手洗いに行き、最後に窓を閉めるため、夜中に3回だけ布団を出た。

翌朝、郵便受けの前で男性と会うと、また笑顔で声をかけられた。

「昨日は夜中に何度か起きていましたね。3回くらいですか」

私は返事ができなかった。

回数が、合っていた。

「今夜は、よく眠れるといいですね」

そう言うと、男性はいつものように部屋へ戻っていった。

怒鳴られたことも、玄関をたたかれたこともない。ただ、自分では気にも留めないほどの小さな生活音を、真上で誰かが聞いている。

私は今も、その部屋に住んでいる。

夜、布団の中で寝返りを打つたび、つい天井を見上げてしまう。

そして時々、その直後に、上から一度だけ「ドン」と音がする。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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