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「3万円もしたのに、鏡の中の私は誰なの」奮発した服に固まった私を見て、18歳の娘が返した一言

  • 2026.10.7
「3万円もしたのに、鏡の中の私は誰なの」奮発した服に固まった私を見て、18歳の娘が返した一言

口コミを信じて選んだ一着

春から大学に入る娘の上京に、私もついて行くことになっていた。

新しい部屋のドアを一緒に開ける日くらい、少しきれいな母でいたい。

そう思って、通信販売で口コミ評価の高い服を選んだ。

値段は3万円。

ふだん着ている服の何倍もする。

それでも「着るだけで5歳若く見える」という紹介文と、すらりと着こなす写真を見ているうちに、すっかりその気になってしまった。

「これなら大丈夫。口コミでもあんなにほめられてたし」

届いた箱を寝室に運び、姿見の前で薄紙をめくる。

薄い紫の生地はなめらかで、手に取ると上等そうに見えた。

期待しながら頭からかぶり、そでを通して鏡の前に立つ。

そして、私は固まった。

肩の線は腕の途中まで落ち、そでは指先まで隠れている。

すそも床につきそうで、鏡の中には、まるで大きな布に包まれたような自分が立っていた。

5歳若く見えるどころではない。完全に服に着られている。

一度目を閉じて、もう一度鏡を見る。当然、何も変わらない。

「3万円もしたのに、鏡の中の私は誰なの」

笑った娘が持ってきた裁縫箱

すると寝室のドアが開き、18歳の娘が顔を出した。

娘は入り口に立ったまま私を見ると、一瞬黙った。そして次の瞬間、こらえきれないように笑いだした。

「お母さん、それが3万円の服?」

「そうよ。笑わないで。口コミではすごく評判よかったんだから」

腰に手を当てようとしたが、そでが長すぎて手が出てこない。布の先だけがぱたぱたと揺れ、それを鏡で見た私まで吹き出してしまった。

娘は笑いながら部屋を出ると、裁縫箱を抱えて戻ってきた。

「丈、合わせてみようよ」

「これ、本当に直る?」

「生地はいいんだから、長さが合えば変わるんじゃない?」

私が服を着たまま立ち、娘がそでやすその長さを見ながら待ち針を打っていく。それから服を脱いで床に広げ、私が針を持った。

そでを詰め、すそを上げ、腰には手持ちのベルトを通すことにした。

縫いながら、娘が小さいころに発表会の衣装を縫った夜のことや、新しい部屋に置く棚の話をした。

気づけば、窓の外は真っ暗になっていた。

直した服を着て、もう一度姿見の前に立つ。

そでは手首で止まり、すそはくるぶしの上で揺れている。

今度、鏡の中にいたのは、ちゃんと私だった。

後ろから鏡をのぞきこんだ娘が、満足そうにうなずく。

「うん。今ならちゃんと3万円に見える」

「最初からこうだったらよかったのにね」

そう言うと娘がまた笑い、私もつられて笑った。

上京の日、私はその服を着て、娘と一緒に新しい部屋のドアを開けた。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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