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「す、すみません!人違いでした」会社の門で男性をくすぐった私。30分後、事務所に現れたのは

  • 2026.10.6
「す、すみません!人違いでした」会社の門で男性をくすぐった私。30分後、事務所に現れたのは

灰色の上着を見て、同期だと思い込んだ

外での用事を終えて会社に戻ると、午後1時30分でした。

正門の横にある受付では、灰色の上着を着た男性が、こちらに背を向けて来客用の用紙に名前を書いていました。

その後ろ姿を見た瞬間、私は同期だと思い込みました。背の高さも、少し右に傾けた首もそっくりです。

同期は数年前に関連会社へ移り、今では打ち合わせなどでこちらへ来ると、来客として門で受付をしています。

30年来の付き合いで、顔を合わせれば今でも軽口をたたき合う仲です。

「間違いない。あいつだ」

そう思った私は、足音を立てないように後ろへ近づきました。

そして男性の脇を両手でくすぐりながら、声をかけたのです。

「よっ、久しぶり!」

「うわっ!」

男性は驚いてペンを落としました。

振り向いた顔を見て、今度は私が固まりました。

まったく知らない人だったのです。しかも、私より20歳ほど若く見えました。

受付の係の人も、目を丸くしてこちらを見ています。

「す、すみません!人違いでした」

「あ……はい」

私は慌てて落ちたペンを拾い、もう一度頭を下げました。恥ずかしさで顔が熱くなり、逃げるように事務所へ戻りました。

30分後、事務所のドアが開いた

席に戻った私は、冷たいお茶を飲んで気持ちを落ち着かせました。

午後2時からは、初めて会う取引先の担当者との打ち合わせがあります。

さっきの男性は、どこか別の部署を訪ねてきた人だろう。そう思い、資料の確認を始めました。

やがて時計が2時をさすころ、受付から来客を知らせる内線が入りました。

しばらくして、事務所のドアが開きます。

入ってきた男性を見て、私はまた固まりました。

灰色の上着。先ほど門で、私がいきなり脇をくすぐってしまった男性です。

男性は私と目が合うと、少しだけ笑って名刺を差し出しました。

「14時のお約束で伺いました。先ほどは門で…」

そこで言葉を切り、口元をゆるめます。

「ずいぶん親しみのある歓迎をいただきまして」

「本当に申し訳ありませんでした」

私がすぐに頭を下げると、隣にいた同僚が不思議そうにこちらを見ました。

事情を話すと、同僚はこらえきれずに吹き出しました。

男性も笑いながら言います。

「いえ、初めて伺うので少し緊張していたんです。おかげで力が抜けました」

思いがけない形で始まった打ち合わせでしたが、その後は和やかな雰囲気で話を進めることができました。

それ以来、どれだけ見覚えのある後ろ姿でも、顔を確認するまでは声をかけようと心に決めています。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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