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「この子は人と同じよ、切符を1枚ください」犬を抱いて遊覧船に乗ろうとした女性。だが、係員が貫いた対応とは

  • 2026.10.5

犬を抱いた女性の前で止まった列

家族で出かけた旅先で、遊覧船に乗ることにした。

切符売り場には列ができていて、私と夫、小学生の息子もその後ろに並んだ。

窓口の横には、ペットはキャリーに入れて乗船するよう案内する貼り紙がある。出航までは、あと10分ほどだった。

私たちのすぐ前にいたのは、小さな茶色い犬を抱いた50代くらいの女性だった。女性は自分の切符を受け取ると、犬を抱いたまま窓口の係員に言った。

「この子は人と同じよ。切符をもう1枚ください」

係員は女性の腕の中の犬を見て、穏やかに答えた。

「わんちゃんは、キャリーに入れていただければご乗船いただけます」

すると女性は犬を抱き直した。

「でも、この子は人の言葉も分かるのよ。キャリーには入れたくないんです」

「申し訳ありません。ご乗船の際はキャリーに入れていただく決まりになっています」

女性は納得できない様子で、さらに声を大きくした。

「抱いていれば大丈夫でしょう?ちゃんとおとなしくできますから」

それでも係員は声を荒らげなかった。

「おとなしいわんちゃんでも、乗船中は同じご案内をしております」

列は止まったままだった。後ろでは子どもたちが落ち着かない様子で、息子も私の手を引いた。

「お母さん、船、行っちゃわない?」

私も時計を見る。出航時刻が近づいていた。

係員が台に置いたキャリー

女性はまだ犬を抱えたまま、「この子だけ特別にだめなの?」と係員に聞いた。

係員は首を横に振った。

「いいえ。どのわんちゃんにも同じお願いをしています。こちらをお使いいただけます」

そう言って、貸し出し用のキャリーを取り出して窓口の台に置いた。

女性は何か言いかけたものの、しばらく黙ってキャリーを見つめていた。やがて犬をそっと中へ入れ、扉を閉めた。

さっきまで張りつめていた列の空気が、少しだけ緩んだように感じた。息子も安心したのか、握っていた私の手から力を抜いた。

「お待たせいたしました。次のお客様、どうぞ」

係員はそれまでと変わらない口調で私たちを呼んだ。

相手の勢いに合わせて言い返すのではなく、決まりを何度でも同じように伝える。あのときの係員の落ち着いた対応が、今でも印象に残っている。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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