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「今週末どこか行かない?」に「了解」しか返せなかった俺→腕の中には生後3週間の子猫がいました

  • 2026.10.5
ハウコレ

打ちかけた説明文を消すたび、腕の中の重さが増していく気がしました。「ごめん、ちょっとだけ時間ちょうだい」と送ったあと、俺は写真を撮るために、この子を手のひらに乗せ直しました。

アパートの外階段の下から、濡れた鳴き声が聞こえました。段ボールも布もなく、灰色の子猫が1匹、コンクリートの上にいただけです。抱き上げた手のひらの中で、頼りない重さが動きます。彼女から「今週末どこか行かない?」と届いていたことに気づいたのは、その子を部屋に運び込んだあとでした。

片手で打った「了解」

獣医さんに見せると、生後3週間ほどの子で、数時間おきにミルクが必要だと言われました。倉庫の仕事から帰ると、ミルクを温めて、哺乳瓶を持って、腕に乗せる。空いた時間はケージやトイレの買い出しと、獣医への再受診の予約で埋まり、この子が寝ている間に自分も眠らないと、次のミルクに起きられません。袖口はミルクで汚れたままです。

「今週末どこか行かない?」に打とうとした「週末はちょっと」の続きを、途中で消しました。子猫が腕の上で鳴き、抱え直しているうちに、送ったのは「了解」だけ。予定に何も答えていない返事だと分かっていながら、そのままにしてしまいました。

寝落ちの先で選んだ一言

翌日届いたワンピースの写真は、子猫にミルクをあげている途中で開きましたが、いつのまにかこの子と一緒に寝落ちしてしまいました。鳴き声で起きて、そのまま次のミルク。返していないことに気づいたときには、既読から何時間も経っていて、今さら「似合う」だけ送るのも気が引けて、結局「了解」と打ちました。拾ったことは、この子が落ち着いてから話そうと決めていたので、事情も添えないままです。

「明日、仕事終わりに電話していい?」にも「了解」と返してから、かかってきたら何と言おうかと、ミルクの粉を計りながら考えていました。電話は、かかってきませんでした。それに少しだけ安心してしまった自分がいます。

「ちょっとだけ時間ちょうだい」

「ねえ、私と話すの面倒?」

そのメッセージが届いたとき、子猫はちょうど腕の中で眠っていました。両手が空いているのは、この1週間で初めてです。それでも、説明の文章は3回打って3回消しました。長く書くほど言い訳に見えるのが、画面の上で分かったからです。

送ったのは「ごめん、ちょっとだけ時間ちょうだい」。

子猫を手のひらに乗せ直して、写真を撮りました。起きて口を開けた瞬間を、そのまま送ります。

「この子を拾ってから、ミルクと獣医と買い出しで、頭が回ってなかった」

本当は、この子が寝ている間にも打てたはずだと、送ってから思いました。既読はついたまま、返事はしばらく来ません。ミルクの缶を洗いながら、通知の音を待ちました。

そして...

「名前、決めた?」

届いた1文を、缶を持ったまま二度読みました。「まだ。一緒に考えてほしい」と返し、翌日、勤務が休みなのを確かめてから「来られる?」と送りました。返ってきた「了解」の下には、子猫用ミルクの缶の写真が並んでいます。

今、その缶は俺の部屋の棚で、俺が買ったものの隣に置いてあります。名前は、まだ決まっていません。

(20代男性・倉庫スタッフ)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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