1. トップ
  2. エピソード
  3. 「あの人の自慢話、もう3年も聞かされてるのよ」本人に愚痴メールを誤送信。その後、3回目の体操教室で耳元に言われた一言

「あの人の自慢話、もう3年も聞かされてるのよ」本人に愚痴メールを誤送信。その後、3回目の体操教室で耳元に言われた一言

  • 2026.10.5

3年間、隣で聞いてきた話

町内の集会所で開かれる体操の会に、3年前から通っています。

広間には椅子が輪になるように並べられ、体操が始まるまでは、みんな思い思いにおしゃべりをして過ごしていました。

私の隣には、いつも同じ年ごろの女性が座ります。孫のことや旅行のことを話すのが好きな人で、私は毎回、相づちを打ちながら聞いていました。

「うちの孫がね、また賞状をもらってきたのよ」

「まあ、すごいわね」

「それでね、来月は娘の家族と温泉に行くの」

そんなやり取りが、いつものように続いていました。

ある夜、私は仲のいい友人に愚痴を聞いてもらおうと、携帯電話でメールを書きました。

その日も会が始まるまで、隣でずっと温泉宿の話を聞いていたからです。

書き出しは、こうでした。

「あの人の自慢話、もう3年も聞かされてるのよ」

そのあとにも、かなりきつい言葉を続けてしまいました。

送信した直後、何気なく宛先を見た私は、息が止まりそうになりました。

友人に送ったつもりのメールは、隣に座っているあの女性へ送られていたのです。

会の連絡用に登録していた女性の名前が、友人の名前の1つ上に並んでいました。

「…うそ」

画面を見つめたまま、しばらく動けませんでした。

すぐに謝らなければと思い、何度もメールを書きました。

けれど、言い訳にしか見えない気がして、書いては消してしまいます。

結局、その夜は何も送れませんでした。相手からの返事もなく、ほとんど眠れないまま朝を迎えました。

次の朝、いつもの笑顔で手を振られた

翌朝は、体操の会の日でした。

休んでしまいたい気持ちもありましたが、重い足で集会所へ向かいました。

広間に入ると、輪になった椅子のそばにいた女性がすぐに私に気づきました。

そして、いつもと変わらない明るい顔で手を振ったのです。

「おはよう。今日もいいお天気ね」

一瞬、何と返せばいいのか分かりませんでした。

「……おはよう。ほんとうね」

どうにかそれだけ答え、いつもの椅子に座りました。

女性も隣に腰を下ろすと、何事もなかったように孫の運動会の話を始めました。

メールのことには一言も触れません。

私から謝らなければと思いながらも、周りにはほかの人もいます。結局、その日は切り出せないまま終わってしまいました。

次の会でも、女性の態度は同じでした。

もしかすると、メールを読んでいないのかもしれない。

そんな都合のいいことまで考え始めていました。

「3回も読んだわ」と耳元で言われて

そして、誤送信してから3回目の会の日。

体操が終わり、みんなが椅子に戻って汗を拭いていたときです。

隣に座っていた女性が、ふいに私のほうへ顔を寄せました。

表情は、いつもの笑顔のままです。

「メールをありがとう。3回も読んだわ」

胸がどきりとしました。

「あの…私……」

言葉が続きません。

けれど女性は、それ以上何も言いませんでした。笑顔のまま手さげを持って立ち上がると、向かい側にいた人たちへ手を振り、そのまま広間を出ていきました。

怒っていたのか、傷ついていたのか。それとも別の気持ちだったのか、私には今も分かりません。

その後も、私たちは同じ体操の会に通っています。

女性の話は、以前より少し長くなったように感じます。話し終えるころには、決まって私の顔をのぞき込みます。

「ねえ、聞いてくれてる?」

「ええ、聞いてるわ」

今日も広間へ入ると、女性は隣の椅子を手でとんとんとたたきながら、笑顔で私を待っていました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ