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「本人に教えてあげたほうがいいかな」隣から毎晩聞こえる歌声に悩んだ私だが、ママ友が笑顔で聞いた結果

  • 2026.10.5

防音の部屋からは聞こえないのに

わが家の隣が空き家になったのは、去年の春のことです。

その家を買ったのは、子どもたちが小さいころからつき合いのあるママ友でした。

「ご家族で越してくるの?」

「ううん。住むためじゃなくて、ピアノを思いきり練習するために使うの」

ピアノを置いた部屋にはしっかり防音工事がされているようで、私が庭で洗濯物を干していても、演奏の音はほとんど聞こえませんでした。

ところが、聞こえてきたのは別の音でした。

夜になると、隣の浴室のほうから大きな歌声が響いてくるのです。

気持ちよさそうな歌声で、ときどき音程がふわっと外れるところまで聞こえてきました。

ある晩、私は窓のほうを見ながら夫に言いました。

「お風呂の歌声、窓を閉めても毎晩聞こえるのよ」

「聞こえるな。今日もずいぶん楽しそうだ」

「本人、気づいてないよね。教えてあげたほうがいいのかな」

「でも、言われたら恥ずかしいんじゃないか?」

確かにそうです。ただ、あとになって別の人から「ずっと聞こえていた」と知らされるのも気まずいでしょう。

言うべきか、黙っているべきか。決められないまま、何か月も過ぎていきました。

先に言われた、思いがけない一言

ある日の昼、庭で草むしりをしていると、低い垣根の向こうにママ友の姿が見えました。

「こんにちは。いいお天気ね」

私は軍手を外しました。今日こそ、さりげなく伝えてみよう。そう思って口を開きかけた、そのときです。

ママ友が笑顔で言いました。

「ねえ、お宅の台所の鼻歌、いつも楽しみにしてるのよ」

「え?」

「夕方になると聞こえてくるの。昨日歌ってたの、なんていう曲?」

私は軍手を握ったまま固まりました。

夕飯を作りながら、私も毎日のように鼻歌を歌っていたのです。しかも、自分でも少し音程が怪しいと思うことがありました。

聞こえていたのは、こちらだけではなかったのです。

私はなんとか曲名を答えると、ママ友は「いい歌よね」と笑って隣の家へ戻っていきました。

その夜、夫に話すと、吹き出すように笑いました。

「なんだ。うちも聞かれてたのか」

それ以来、夕飯を作る時間になると、私は台所の窓をきちんと閉めるようになりました。

それでも鼻歌だけは、なかなかやめられません。

今夜も台所に立っていると、居間から夫の声が飛んできます。

「今日もごきげんだな」


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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