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ガスこんろの5つのNG 煮こぼれ放置はガス漏れの元

  • 2026.10.4

煮こぼれや吹きこぼれで内部が腐食したり器具栓が傷んだりしてガスが漏れ、火がついたと経過に書かれたガスこんろの記録が27件ありました。2016年1月以降の記録368件(NITE SAFE-Lite)を編集部が結論の文で読み分け、グリルのボタンの押し間違い、排気口の上の物、ホースの通し方、衣服への着火を含む5つのNGと、服に火が移ったときの動き方をまとめます。

お湯が噴いて、五徳の下まで水びたし。とりあえず火を止めて、拭くのはあとで。毎日使うガスこんろでは、よくある場面です。
全国の製品事故の情報が集まるNITE(ナイト)の記録のうち、品名がガスこんろで2016年1月以降に起きた368件を、編集部が1件ずつ読みました。煮こぼれや吹きこぼれが経過に出てくる記録は43件。そのうち、内部の腐食や器具栓のすり減りからガスが漏れて火がついたと経過に書かれていた記録が27件ありました(劣化に分けた13件、使い方8件、原因不明の側6件)。
この煮こぼれを1つ目に、グリルとこんろのボタンの押し間違い、排気口の上の物、ホースの通し方、袖口と炎の距離を加えた5つの場面をNGとして取り上げます。着衣着火の対処は、NG5の次の節にあります。

2016年1月以降の368件 結論の文で読み分けた原因

集計に使ったのは、SAFE-Lite(製品事故の公開検索ツール)に2026年10月4日、品名を「こんろ」として出た4,495件です。このうち品名が「ガスこんろ」で始まるものを選び(キャンプ用・焼肉用・カバーなど6件は外しました)、発生日が2016年1月以降の368件に絞りました(最も新しいものは2026年1月)。カセットこんろ、IHなどの電気こんろ、オーブン付きのガスレンジは品名が違うため入っていません。
結論の文で分けると、最も多かったのは原因がわからない、または製品以外とみられる179件でした。このうち153件は、結論に「原因の特定には至らなかった」などと書かれた記録です。使い方が原因とみられるものは141件、長く使ったことによる劣化が25件、業者の設置や修理の不備が20件、製品の不具合とみられるものは3件でした。
件数の読み方:結論に「特定には至らなかった」とある記録は、途中に使い方の記述があっても原因不明の側に入れ、煮こぼれなどの場面は次の節で分類と別に数えました。NITEの原因区分が空欄の記録も含め、振り分けは編集部の判断です。2015年以前と発生日の欄が空いている47件は入れておらず、数はNITEに届いた・集められた事故情報の件数なので、起きた事故の総数ではありません。

使い方141件の中で最も多かったのは、グリルの庫内にたまった油や、中に入れた物が燃えた43件です。こんろの上や周りに置いた物に火が移ったものが30件、鍋やフライパンの中身が過熱して火が出たものが23件、煮こぼれや汚れでこんろの内部が腐食したり炎の出る穴(炎口)が詰まったりしたものが20件と続きます。
NITEが2026年1月に公表した資料は、2020〜2024年の5年間にNITEに通知されたガスこんろの事故152件の約5割を誤使用・不注意によるものとしています(期間・数え方ともこの記事の集計とは別です)。

煮こぼれが経過に書かれた43件 ガス漏れにつながったのは27件

原因の分類とは別に、368件の結論の文に、煮こぼれ・吹きこぼれ(水をこぼした1件を含む)が出火や不完全燃焼の経過として書かれた記録を数えると43件でした。使い方に分けたものが18件、長く使ったことによる劣化に分けたものが13件、原因不明の側が12件です。
経過で分けると、こぼれた煮汁が内部にたまってガスの通り道や配管が腐食し、穴や亀裂からガスが漏れたものが18件、火力を調節する器具栓のOリング(ゴムの輪)が煮こぼれの付着ですり減り、ガスが漏れたものが9件ありました。ほかの16件は、炎口や混合管が詰まったりぬれたりして、出口をふさがれたガスが機器の中に回ったり、炎が乱れたりしたものなどです。ガス漏れの27件の内訳は、劣化に分けた13件(いずれも15〜37年使った記録)、使い方8件、原因不明の側6件です。Oリングの9件のうち7件は、19〜27年使った記録でした。

NG1|煮こぼれ・吹きこぼれを、拭かずにそのまま使い続ける

火を止めて鍋をどけたら、そのまま次の料理へ。バーナーのまわりの焦げつきは、週末にまとめて掃除する。
上の43件のうち、使い方に分けた記録には「煮こぼれ等の放置により、点火ボタン下方のメインパイプが腐食して孔が開いた」「バーナーの炎口が、吹きこぼれにより閉塞された状態で点火操作を繰り返した」といった結論が並びます。使い方に分けた18件のうち13件は機器の一部が焼けるなどの製品破損で、残りは火災や周りの焼損、けがに至った記録です。

防ぐには:こぼれたら、その都度きれいに拭き取る。
NITEは2023年9月の資料で煮こぼれが、2026年1月の資料で煮こぼれ・吹きこぼれが生じたら、きれいに拭き取るよう呼びかけています。放置すると、ガス配管が腐食してガス漏れを引き起こしたり、バーナーキャップの炎口がふさがれて点火不良や異常燃焼を引き起こしたりするおそれがあるためです。煮こぼれが温度センサーに付くと正確な温度を測れず、調理油過熱防止装置などの安全機能が適切に働かなくなることがある、とも説明しています。

NG2|こんろのつもりでグリルのボタンを押し、炎を確かめない

右のこんろで湯を沸かそうとして、隣に並んだグリルのボタンを押してしまう。音も炎も控えめなので、そのまま台所を離れる。
こんろのつもりでグリルを点火した、消すつもりでグリルのボタンを押した、左右のこんろを取り違えた、という記録は分類をまたいで22件ありました。このうち18件はグリルを誤って点火したもので、グリルの受け皿や庫内にたまっていた油や食品かすが燃えた、グリルの中にキッチンタイマーが入ったままだった、排気口の上に置いた物が熱せられた、といった経過です。

防ぐには:点火・消火のたびに、どこに火がついたかを確かめる。
NITEは2026年1月の資料で、こんろとグリルの操作ボタンの押し間違いによる事故にも触れ、使うときと使い終わったときに、点火・消火の状態を必ず見るよう勧めています。2023年9月の資料では、グリルは炎が見えにくく、火がついていることが分かりづらい、忘れやすいという特性を知っておくよう求めています。受け皿に水を入れるかどうかや手入れのしかたは機種で異なるので、手元の取扱説明書の該当ページも開いておきましょう。

NG3|グリルの排気口の上やこんろの周りに、物を置いたままにする

揚げ物に使った油の鍋は、冷めるまで奥の排気口の上へ。スプレーやふきんも、手の届くこんろの脇が定位置。
使い方の記録で2番目に多い「こんろの上・周りの物に火が移った」30件には、タオル、ふきん、樹脂の水切りかご、まな板、食品の包装、ごとくの上に置いた段ボールや電気ポットなどが並びます。グリルの排気口の上や近くにあった物が排気の熱で燃えた・破裂した記録も分類をまたいで6件あり、排気口の上に置いた天ぷら鍋の油、スプレー缶、段ボールの物置台などでした。

防ぐには:排気口の上・周囲と、こんろの上・周りには物を置かない。
NITEの資料は、ふきんや樹脂製品のような燃えやすい物を、こんろの上や周囲に置かないことを挙げています。グリル排気口はグリル庫内の煙や熱を逃がすためのもので、ふきんなどを排気口の上に置いたままにすると熱で溶けたり発火したりする危険があるとして、排気口の上やそのまわりも物を置かない場所としています。2026年1月の資料は、市販の排気口カバーやアルミ箔などで排気口をふさがないこと、こんろの下に段ボールや新聞紙などの燃えやすい物を敷かないことも挙げています(記録にも、アルミ製のこんろマットで排気口がふさがれていた例、こんろの下の敷物に火が移った例があります)。

NG4|ガスホースを、こんろの下や後ろの熱くなる所に通す

ガス栓が台の反対側にあって、長めのゴム管をこんろの下にくぐらせている。
ガスホース(ゴム管)がこんろの下を通っていた、グリルの底や背面の熱い所に触れていた、固定していなかったため熱い所に近づいた、という記録は分類をまたいで9件でした。グリルの熱でホースが傷み、空いた穴から漏れたガスに火がついた、という経過です。こんろの下を、別の暖房器具のゴム管が通っていた記録もありました。

防ぐには:ホースは機器の上や下を通さず、高温部に触れさせない。
記録に引かれた取扱説明書の注意には「ガスホースを機器の上や下を通さない」「ガスホースはグリル排気口等の高温部に触れない」と書かれていました。NITEが2026年1月に公表した資料でも、2020〜2024年の5年間に通知された事故に、ガスこんろの下などの高温になる場所にホースが触れて破損したものが4件挙げられています。ホースの種類やつなぎ方は、同じガス栓につなぐ暖房器具の記事でも取り上げています。

NG5|火をつけたまま、こんろの奥にある物に手を伸ばす

鍋を火にかけたまま、こんろの奥の調味料に手を伸ばす。首にはタオル、羽織ったカーディガンの袖は少し長め。
衣服に火が移った記録は分類をまたいで6件で、そのうち2件は亡くなった方がいる記録です。左側に置いた調理器具を右手で奥へ動かしたとき上腕が炎に近づいた、こんろに顔を近づけたとき首に掛けたタオルが鍋の側面に近づいた、こんろに寄り掛かっていた、といった経過が書かれています。東京都がまとめた東京消防庁の集計では、2018〜2022年の5年間に服に火がついた火災で13人が亡くなり、213人がけがをしていて、出火原因の約8割はガスコンロでした。

防ぐには:奥に物を置かないか、火を消してから取る。
NITEは、こんろの奥の物を取ったり置いたりすると衣服が炎に近づくため、奥に物を置かないようにするか、どうしても置く場合は必ず火を消してから取るよう勧めています。あわせて、鍋の大きさに合わせて火力を調節し、マフラーやスカーフなど垂れ下がる物は外し、袖や裾が広がった服や毛羽立った服はできる限り避け、エプロンやアームカバーを使うよう挙げています。ガスこんろの炎は目に見えている部分以外にも広がっていて、見えている炎から離れていても着火するおそれがある、とも説明しています。

着衣着火の対処 ストップ、ドロップ&ロールの手順

服に火がついたときの動き方は、NITE(神戸市消防局監修の資料)と東京都の資料で次のように示されています。
・近くに水や消火器があれば、すぐに消火する。すぐ脱げる服なら脱ぐ。周りの人に大声で助けを求める(NITE)
・服が脱げず、近くに水や消火器も無いときは「ストップ、ドロップ&ロール」。走り回らずその場で止まり、燃えているところを床に押しつけるように倒れ込み、左右に転がって消す。両手で顔を覆う(NITE)
・水をかける、脱ぐ、たたくなどして早急に消火する。走ると風で酸素が取り込まれ、火の勢いが大きくなるおそれがある(東京都)
NITEの2026年1月の資料によると、消防庁のデータで着衣着火による死者は2019〜2023年の5年間に487人、毎年100人前後です。

よくある質問

Siセンサー付きのこんろなら、油の火は出ない?

経済産業省によると、カセットこんろを除く家庭用のガスこんろは2008年10月1日からガス事業法と液石法の規制の対象になり(販売には1年の猶予)、NITEの資料では、このときバーナー全口に調理油過熱防止装置と立ち消え安全装置を付けることが義務になったと説明されています。
368件の中には、調理油過熱防止装置の付いていないこんろや、付いていない側のバーナーで油などが過熱した記録が11件ありました(一口こんろ2件を含む)。付いているこんろでも、センサーの内部に油分が付いて動きにくくなり、鍋底にきちんと当たっていなかった記録があります。取扱説明書に揚げ物は温度センサー付きのバーナーで、と書かれた機種もあります。

火がつきにくいときは?

点火しにくい、または途中で火が消えた後に点火し直し、たまったガスに火がついた記録は、使い方の分類で5件ありました(炎口の詰まりが原因と書かれたものは煮こぼれの側で数えています)。グリルの扉を開けたまま点火を繰り返して顔をやけどした記録や、電池の電圧が下がって点火しにくいグリルをのぞき込んでいて顔をやけどした記録(1件)もあります。記録に引かれた取扱説明書の注意には「点火しなかった場合は、周囲にガスがなくなるまで待ってから再点火を行う」とありました。炎口がぬれていたり詰まっていたりすると点火しにくくなるため、取扱説明書の手入れの手順もあわせて確認してください。

ペットを残して出かけるときは?

ペットが操作ボタンを押して火がついた、またはその可能性があるとされた記録は7件ありました。ほかにも、ペットのいる留守宅で出火し、原因の特定に至らなかった記録が9件あります。NITEは、出かける際はガスこんろの元栓を閉め、操作ボタンをロックする機能がある場合は使い、こんろの近くにペットの気を引く物を放置しないことを挙げています。

まとめ 煮こぼれの手入れと点火・消火の確認がカギ

出典 www.nite.go.jp

5つのNGと防ぎ方を、図と同じ並びで書き出します。
・煮こぼれ・吹きこぼれを、拭かずにそのまま使い続ける → こぼれたら、その都度きれいに拭き取る
・こんろのつもりでグリルのボタンを押し、炎を確かめない → 点火・消火のたびに、どこに火がついたかを確かめる
・グリルの排気口の上やこんろの周りに、物を置いたままにする → 排気口の上・周囲と、こんろの上・周りには物を置かない
・ガスホースを、こんろの下や後ろの熱くなる所に通す → ホースは機器の上や下を通さず、高温部に触れさせない
・火をつけたまま、こんろの奥にある物に手を伸ばす → 奥に物を置かないか、火を消してから取る
2016年1月以降の368件で、使い方に分けたのは141件。分類をまたぐと、煮こぼれが経過に書かれた記録が43件ありました。記録に並んだ場面の多くは、こぼれた後の手入れと、点火・消火のときの確認の中にありました。
グリルの受け皿の水やアルミ箔、ホースのつなぎ方、お手入れの手順は機種ごとに違うため、迷ったらご家庭のガスこんろの取扱説明書で確かめてください。なお、件数は2026年10月4日取得の記録をweboo編集部が独自に分けたもので、NITEの公表値とは別物です。

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