1. トップ
  2. エピソード
  3. 「明日の切符、もうありますか」自信を持って渡した私。だが、夕方の予定表を見て固まった理由

「明日の切符、もうありますか」自信を持って渡した私。だが、夕方の予定表を見て固まった理由

  • 2026.10.5
「明日の切符、もうありますか」自信を持って渡した私。だが、夕方の予定表を見て固まった理由

出張の切符は、長年の私の受け持ち

60代の私は、会社の事務所で事務の仕事をしています。

営業の人たちが出張するときの新幹線の切符をまとめて手配するのも、長年の私の仕事でした。

行き先と日にちを予定表で確認し、窓口で購入して、一人ずつ渡します。

何年も続けてきましたが、それまで日付を間違えたことはありませんでした。

ある日の昼、自分の机で切符を封筒に分けていると、40代の営業の男性が書類を抱えてやって来ました。

「明日の出張の切符、もうありますか」

「ええ、ありますよ」

私は用意していた封筒を差し出しました。

「新幹線の切符、明日の9時発で取りました」

「ありがとうございます。いつも助かります」

男性は封筒を受け取ると、中を確認せずに上着の内ポケットへしまいました。

何年もやってきた仕事です。私もそのときは、まさか間違っているとは思っていませんでした。

夕方、控えの日付を見て手が止まった

ところが夕方、帰る前に翌日の予定表を見直していたときです。

男性の出張予定を確認し、何気なく手元の控えに目を落とした瞬間、私は固まりました。

切符の日付が、明日ではありません。

来週の同じ曜日になっていたのです。

私は慌てて男性の席へ声をかけました。

「すみません。さっきの切符、ちょっと見せてもらえますか」

男性に封筒を出してもらい、切符を机の上で確認しました。やはり日付は来週です。

「ごめんなさい。私、日付を間違えていました。明日の分じゃなくて、来週になっています」

「えっ、本当ですか」

「本当に申し訳ありません」

何度も頭を下げる私の前で、男性はしばらく切符を見つめていました。

すると、困ったように笑って言ったのです。

「参ったなあ…。でも実は、正直あまり気が進んでなかった出張なんですよ。日程を相談してみます」

怒られると思っていた私は、思わず男性の顔を見ました。

近くの席にいた同僚もやり取りを聞いていたようで、小さく笑っています。

それ以来、切符の取り方が変わった

その後、出張は予定が変わることも多いからと、切符はそれぞれが自分で取ることになりました。

私がまとめて買いに行くことはなくなりましたが、営業の人たちは今でも、出張の予定や便を確認するときに私の机へやって来ます。

そして出張から戻ると、ときどきお土産を置いていってくれるようになりました。

先日も、あの男性が菓子の箱を机に置きながら笑いました。

「今回は、ちゃんと行きたいやつでしたよ」

「それならよかったです」

あの日以来、私はどんなに慣れた仕事でも、最後の確認だけは気を抜かないようになりました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ