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「兄貴、まだそんな昔のこと覚えてるの?」10年間5万円を返さない弟。だが、母の誕生日で借金が明らかになった瞬間

  • 2026.10.5

給料日を過ぎても返ってこない5万円

60代の私には、2歳下の弟がいます。10年ほど前の夜、その弟から突然電話がかかってきました。いつもより声が小さく、少し言いにくそうにしています。

「給料が入ったら返すから、5万円だけ貸して」

困っているなら仕方がないと思い、私は翌日、5万円を封筒に入れて弟に渡しました。

ところが、約束していた給料日を過ぎても連絡はありません。

ひと月ほど待ってから、私のほうから返済のことを切り出しました。

「あの5万円、そろそろ返してもらえるか?」

弟は私と目を合わせず、短く答えました。

「今ちょっと余裕がないんだ」

それ以上は追及しませんでした。しかし、その後も5万円が返ってくることはありませんでした。

何年かたって実家の台所で再び話をすると、弟は困ったように笑いました。

「兄貴、まだそんな昔のこと覚えてるの?」

そのあいだ、弟が新しい車を買ったり、旅行へ出かけたりする様子も見聞きしました。それでも、返済について弟のほうから話が出ることはありませんでした。

母には心配をかけたくなくて、この件を知っているのは妻だけでした。

母の90歳の誕生日に出てきた白い封筒

それから10年ほどたった、母の90歳の誕生日のことです。

実家の居間で、母と私、妻、弟の4人でテーブルを囲みました。中央には妻が選んだケーキがあり、私たちは小さな花束も用意していました。

ろうそくを吹き消したあと、弟が上着の内ポケットから白い封筒を取り出し、母の前へ差し出しました。

「母さん、5万円分の旅行券。温泉にでも行ってきなよ」

母が「まあ、ありがとう」と声を上げると、弟は私たちの花束をちらりと見ました。

「兄貴のところは、今年も花だけか」

その言葉を聞き、私は湯のみを置きました。

「5万円か。そういえば、10年前に貸したのも5万円だったな」

さっきまでにぎやかだった居間が、急に静かになりました。

母は弟と私を交互に見ました。

「えっ、お兄ちゃんにお金を借りてるの?10年も?」

「いや……もう昔の話だろ」

弟はそう言ったきり、目をそらしました。

母は少し黙ったあと、白い封筒を弟の前へ押し戻しました。

「これは受け取れないよ。人から借りたお金を返さないまま贈り物をされても、私は喜べない。先にお兄ちゃんに返しなさい」

弟は何も言わず、封筒を手にしたままうつむきました。

1週間後、私の口座には5万円が振り込まれていました。

10年もかかった返済でした。もっと早くきちんと話しておけばよかったのかもしれません。それでも、ずっと引っかかっていたことに、ようやく一区切りついた気がしました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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