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「この指輪をケーキに入れてください」常連客から託された店員たち。翌週、再度来店した結果

  • 2026.10.5

常連の彼が差し出した小さな箱

30代の私が、20代のころにケーキ屋で働いていたときの話です。

お店には、週末になるとよく来てくれる明るいカップルがいました。

ショーケースの前で楽しそうにケーキを選ぶ二人の姿を、私たち店員もよく覚えていました。

彼はサプライズが好きな人で、彼女の誕生日には、ひとりで来店してメッセージプレートを頼んだこともあります。

ある平日の午後、その彼がまたひとりで店にやってきました。

記念日のケーキを予約したいとのことでした。

注文票を書き終えたところで、彼は上着のポケットから小さな箱を取り出しました。

そして、少し照れたような顔でふたを開けます。

中に入っていたのは、指輪でした。

「あの…このケーキに、指輪を入れてもらえませんか」

思わず声が出そうになり、私は口を押さえました。となりで箱を組み立てていた20代の同僚も、ぴたりと手を止めています。

彼は声を少し落として続けました。

「いちごの下に、隠してもらえたらと思って」

話を聞いて奥から出てきた50代の店長は、指輪を確認すると静かにうなずきました。

「承知しました。責任を持ってお預かりしますね」

店長は指輪を箱ごと受け取り、その場で預かり票を書いて、奥の金庫にしまいました。

なぜか私たちまで緊張した記念日

それからというもの、私たちは記念日のことが妙に気になっていました。

前日には、ケーキのどのあたりなら指輪を自然に隠せるのかを確認しました。

「明日、彼のほうが緊張してたりして」

私が言うと、同僚が笑います。

「どうだろう。こっちのほうが緊張してるかも」

当日の朝、店長がケーキを仕上げました。指輪は小さな透明の袋に入れられ、真ん中のいちごの下へそっと収められました。

そして夕方。ドアのベルが鳴り、あのカップルが入ってきました。

二人はいつもと変わらない様子でショーケースの前に立っています。彼も笑いながら彼女と話していて、とても緊張しているようには見えません。

むしろ落ち着かなかったのは、私のほうでした。

予約のケーキを両手で持つと、わずかに手が震えます。奥を見ると、店長と同僚もこちらを気にしていました。

「お待たせしました。お気をつけてお持ちください」

「ありがとう。じゃあ、また来ます」

彼はいつもの調子で箱を受け取り、彼女と一緒に店を出ていきました。

ドアが閉まった途端、張りつめていた空気がほどけます。

「…緊張してたの、私たちのほうでしたね」

同僚がそう言うと、店長も苦笑いしていました。

それから一週間ほどして、二人がまた店に来てくれました。

いつものように彼女がショーケースのケーキを指さしたとき、その左手に、あの日預かった指輪が光っているのが見えました。

思わず奥を振り返ると、店長がこちらを見て、こっそりガッツポーズをしていました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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