1. トップ
  2. エピソード
  3. もらった物に必ず点をつける母→義妹の手土産を「あとでいただくね」とだけ言って棚に置き続けた私

もらった物に必ず点をつける母→義妹の手土産を「あとでいただくね」とだけ言って棚に置き続けた私

  • 2026.10.4
ハウコレ

「そういうんじゃないの」。台所でそれしか言えなかった私が、本当は何を言うつもりだったのか。母と2人になった居間で、私は小さな嘘を1つ足しました。

廊下の向こうで、母が漬物の瓶を持ち上げてはしゃぐ声が聞こえました。玄関で受け取ったばかりの箱を、私は脇の棚へ置きました。義妹の手土産を母の前で開けたことは、3年前から1度もありません。

母は必ず点をつける

母は、人からもらった物に必ず点をつけます。私が嫁いだ年、初めて持って帰った焼き菓子を「前に隣の奥さんがくれたのと同じね」と言われました。それからは、実家に何を持っていくか考える時間が、帰る前の楽しみを食い潰すようになりました。

だから義妹の箱を、母の前では開けません。開けて味を褒めれば、母は必ず前の物と比べ始めます。次の帰省から、義妹は私と同じ場所に立たされることになる。それが分かっているので、受け取る時の言葉はいつも決めています。

「ありがとう。あとでいただくね」

台所で聞かれた

食器を運んだ台所で、義妹と2人になりました。蛇口の音の下で、義妹が聞いてきました。

「甘いもの、お好きじゃなかったですか」

皿を拭く手を止めないまま、答えを探しました。点数のこと、嫁いだ年の焼き菓子のこと。順番に話せば、義妹は母のことを嫌いになるだけだと思いました。

「そういうんじゃないの。気にしないで」

言い終わってから、これでは何も伝わらないと分かりました。続きを言うために息を吸ったところで、廊下から母の足音がしました。

「何の話?」

「何でもない」

拭き終えた皿を棚へ戻しながら、義妹が濡れた手を布巾で拭くのを横目で見ていました。

玄関で渡した瓶

帰り支度の中で、母が義妹に箱を持ち帰るかと聞いているのが聞こえました。義妹は、置いていくと答えました。その声を背中で聞きながら、台所へ戻って漬物の瓶を紙袋に入れました。玄関で靴を履く義妹に、紙袋を差し出しました。

「よかったら」

それ以上は、居間まで届く声になると思って、口にしませんでした。車が出てから、棚の箱を下ろしました。リボンをほどき、1つだけ口に入れて、残りを皿に盛って居間へ運びました。母は箱の値札を裏返して言いました。

「これ、この前の最中より安いんじゃないの」

「私がこの店のを頼んだの。好きだから」

頼んだことなど1度もありません。それでも、義妹の選んだ物に点がつくよりはいいと思いました。母はそれ以上、値札を見ませんでした。

そして...

義妹に、母抜きでお茶をしないかとメッセージを書いています。手土産にくれた店の名前を並べて、どれもあとで食べていたことも書きました。母の前で開けなかった理由まで伝えるか迷っていますが、「気にしないで」で終わらせたままにはしたくありません。

(40代女性・パート)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ