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「30年ぶりね、久しぶりー!」見知らぬ女性に両手を広げた私。直後、女性が抱きついた相手

  • 2026.10.4

商店街で手を振ってきた見知らぬ人

友人と2人で、街の商店街へ買い物に出かけた日のことだ。

人通りの多い歩道を私が先に歩き、友人は店先の商品を見ながら、3歩ほど後ろをついてきていた。

「ちょっと待って。このお皿、見てもいい?」

「いいよ。ゆっくり見てて」

そう答えて前を向くと、向こうから歩いてくる私と同じ年ごろの女性と目が合った。

その瞬間、女性の顔がぱっと明るくなった。満面の笑みで、こちらに向かって大きく手を振っている。

けれど、私には見覚えがない。

一瞬戸惑ったものの、あれほど嬉しそうにされると、「私が忘れているだけかも」と思えてきた。

同窓会に最後に顔を出したのは、もうずっと前だ。

もしかすると、長いこと会っていない同級生なのかもしれない。

ここで「誰でしたっけ」と言うのも気まずい。話せば思い出すだろうと、私は思い切って笑顔で両手を上げた。

「30年ぶりね、久しぶりー!」

広げた両手の前を通り過ぎて

女性はさらに笑顔になり、まっすぐこちらへ駆けてくる。

やっぱり知り合いだったんだ。

そう思った私は、再会のハグをするつもりで両手を大きく広げた。

ところが次の瞬間、女性は足を止めることなく、私の横をそのまま通り過ぎていった。

「会いたかったー!」

驚いて振り返ると、女性が抱きついていたのは、3歩後ろにいた私の友人だった。

友人も目を丸くしたあと、すぐに笑顔になった。

「まあ!こんなところで会うなんて。職場をやめて以来じゃない」

どうやら2人は昔の職場の仲間だったらしい。女性が最初から手を振っていた相手は、私ではなく、その後ろにいた友人だったのだ。

私は両手を広げたまま、しばらくその場に立ち尽くした。

この腕をどうすればいい。

とっさに両手をそのまま上へ伸ばし、かかとを上げて背伸びをした。さらに体を左右へ倒す。買い物の途中で急に体操を始めた人に見えていれば、それでいい。

やがて友人がこちらを見て、首をかしげた。

「ねえ、さっき『久しぶりー!』って叫んでなかった?」

「……同級生だと思ったのよ」

「だから急に体操してたの?」

「そういうことにしておいて」

友人が吹き出すと、事情を聞いた女性も笑いだし、私までつられて笑ってしまった。

その日は3人で近くの喫茶店へ入り、お茶をした。話してみると気の合う人で、帰るころには、私とその女性もすっかり打ち解けていた。

それからは3人でよく会っている。待ち合わせで私を見つけるたび、その女性は決まって両手をいっぱいに広げる。

「30年ぶりね、久しぶりー!」

今ではそれが、3人の間のお決まりの挨拶になっている。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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