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「うちの子、今日発表するのよ」授業参観で視界をふさぐ母親。だが、担任が授業を止めて伝えたお願い

  • 2026.10.3
「うちの子、今日発表するのよ」授業参観で視界をふさぐ母親。だが、担任が授業を止めて伝えたお願い

目の前に来た背中

小学2年生の息子の授業参観で、私は教室の廊下側の壁ぞいに立っていた。

床には壁に沿って黄色いテープが貼られ、保護者は壁と線のあいだで見る決まりになっている。

「ここ、見えますか」

「はい。私も少し寄りますね」

隣のお母さんが場所をあけてくれたので、私も後ろの人が見やすいよう少し詰めた。そこからは、席で背すじを伸ばす息子の姿がよく見えた。

授業が始まってしばらくすると、前の戸から一人のお母さんが遅れて入ってきた。参観のたびに、見える場所を探して人の前へ出ていく人だった。

その人は保護者の前を抜けると、黄色い線を越えて教室側へ一歩出た。ちょうど私の視線の先に立たれ、息子の姿が背中に隠れる。

「うちの子、今日発表するのよ」

知り合いにそう話しながら、携帯電話のカメラを教室へ向けていた。声に気づいたのか、近くの子どもが何人か振り返った。

息子の発表中に聞こえたお願い

「では、できるようになったことの発表を始めます」

何人目かで息子の名前が呼ばれた。息子が紙を持って立ち上がると、その人は画面をのぞき込みながら、少しずつ横へ動き始めた。

どうやら3列目にいる自分の子どもが見えにくくなったらしい。私のすぐ横まで寄ってきたところで、ひじが腕に当たった。

「ちょっとどいて。3列目のうちの子が見えない」

「すみません、私もこれ以上は寄れないんです」

壁ぎわまで詰めながら答えたが、その人はカメラから目を離さなかった。

息子は紙を持ったまま、こちらをちらりと見ている。

そのとき、黒板の前にいた担任の先生が保護者のほうへ顔を向けた。

「すみません。後ろの方も見えるように、保護者のみなさんは黄色い線の内側でお願いします。お話も、できれば廊下でお願いしますね」

先生は続けて、子どもたちへ視線を戻した。

「みんな緊張しているので、発表に集中できるようご協力ください」

線を越えていたその人は周囲を見回し、カメラを下ろすと、静かに壁ぞいまで戻った。

「お待たせしました。どうぞ」

先生に促され、息子がもう一度紙を見た。

「ぼくは、さかあがりができるようになりました」

今度は息子の顔がまっすぐ見えた。読み終えると、息子はこちらを見て小さく手を振った。私も胸の前でそっと振り返した。

「見えるようになりましたね」

隣のお母さんが小声で言った。

線の内側へ戻ったその人も、それからはカメラを低い位置で構えていた。やがて3列目の子どもが立ち上がると、今度はその場から黙って小さく手を振っていた。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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