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おでん × オリーブオイル + ナチュラルワイン = 最高。鹿児島〈名山堀梅屋〉

  • 2026.10.5

鹿児島の酒場が元気だ。焼酎一辺倒かと思いきや、ワインや自家製ドリンクを打ち出す若い店が賑わいを見せる。進取の気性が生み出す料理のクオリティの高さが酒の旨さと呼応する店〈名山堀梅屋〉をご紹介する。郷土の愛に満ちたバラエティに富む肴と酒で、今宵も一献。

photo: Hiroki Isohata / text: Michiko Watanabe

鹿児島〈名山堀梅屋〉オリーブオイルで味わうおでん3種、焼きキャベツ、アボカドエクストラバージン、春菊、外観
BRUTUS

鹿児島市役所近くに、幾筋もの路地が交錯する名山堀(めいざんぼり)と呼ばれるエリアがある。終戦直後、次々とバラックが建てられ、闇市が開かれ、賑わった街だった。

時代の移ろいとともに寂れてしまったが、昭和レトロの面影が残る街として再び脚光を浴びている。古い建物を生かして、しゃれたカフェやギャラリー、雑貨店など、小さな店が連なる。昼夜問わず、年齢問わず、街探検する人が引きも切らない。

鹿児島〈名山堀梅屋〉外観
付近をそぞろ歩いて、昭和レトロを満喫する観光客も多い。路地に並ぶ、しゃれた店を眺めながら、ふらりとどこかに立ち寄りたい。

その一角に、おでんとナチュラルワインの店〈名山堀梅屋(うめや)〉がある。外に突き出た小さなカウンターと格子戸が目印。まるで、ずっとそこにあったように街に溶け込んでいる。オーナーの梅北奈鼓さんは、この物件を見つけたとき、できる限り、元の造りを残したいと思った。

が、柱という柱はシロアリの餌食(えじき)だったし、梁は曲がっているし、床は傾(かし)いでいた。残せるところは残し、歪みを調整した。

「新築よりも何倍も手がかかりました」。2階に続く細い階段を上がると、床の傾きがよくわかる。2階は小上がりとテーブル2卓。少し傾いたままの状態でキープし、テーブルと椅子の脚を調整して、違和感がないように工夫している。

鹿児島〈名山堀梅屋〉店内2階
2階は小上がりとテーブル席。古いけれどキレイにリノベーション。心地よい空間だ。

開店前から、あたりにだしのいい香りが漂う。それだけで腹が減る。店主は本店〈しゃぶしゃぶ梅屋〉でキャリアを積んだ上宮正裕さん。だしの達人だ。ワインに合うおでんとはどんなものか。これが想像を超えている。

おでんダネ自体も焼きキャベツや豆モヤシなど、オリジナリティあふれているのだが、そのタネにぴったりのオリーブオイルをかけるというものだ。オリーブオイルは自社で営む〈照国オリーブラボ〉から。席に着くとまず登場するのがだし。ゆっくりすすると、体中に染み渡る。これ、おでんのだしなのだが、本店の味をベースにアレンジしているそうだ。

鹿児島〈名山堀梅屋〉にゅうめん
締めは小豆島の真砂喜之助製麺所のにゅうめん800円を。だしと味わう少し太めの麺。

さて、おでんダネを選びつつ、ワインを。北海道〈二番通り酒店〉から届く、おでんに合うよう選ばれた軽やかなフランスワインが中心だ。おでんはだしが命だが、スタッフのTシャツの胸には「出汁(だし)はチェイサー」と書いてある。確かに、だしは何にでも寄り添うことができる“万能”チェイサーかも。

鹿児島〈名山堀梅屋〉オリーブオイルで味わうおでん3種、焼きキャベツ、アボカドエクストラバージン、春菊
オリーブオイルで味わうおでん3種各280円。ワインに馴染む味に。手前左/焼きキャベツ、ガーリックフレーバーで。手前右/アボカド、エクストラバージンで。奥/春菊、レモンフレーバーで。ワインはサヴォアの白、テールメール。

Information

名山堀梅屋

住所:鹿児島県鹿児島市名山町3-7
TEL:099-239-7077
営:18時~24時(日15時〜21時)
休:月曜、不定休

小さなOPENの看板が開店の合図。だしの香りがそそる。おでんは18種。グラスワイン1,000円〜、季節の日本酒グラス650円〜。


この〈名山堀梅屋〉の細い通りを挟んだ向かいにあるのが、立ち飲みのワインスタンド〈名山堀Nomae〉だ。梅屋“のまえ”にあるからこの名がついた。店主は脇田陽子さん。

鹿児島〈名山堀梅屋〉入口
〈名山堀梅屋〉の前にある、小さな離れ。気楽なワインスタンド〈Nomae〉にも立ち寄ろう。グラスワイン900円〜、ボトル6,000円〜。フードは、黒豚のリエット、サワーポメロと空豆各500円など軽め。

本誌1052号の福岡編でご紹介した福岡〈酒場サークル〉の出身だ。ちんまりした店内の奥には大きなセラーがあって、常時200本近いワインが出番を待つ。これからは初夏らしい、すっきり系も多く登場する。

フードは脇田さんが作るリエットや牡蠣(かき)のペースト、旬の野菜やフルーツを使ったサラダなど、飲みたくなるものばかり。

この2軒、大きな店舗のように、客もスタッフも両店を自在に行き来し、ちょうどよいワインを融通し合ったりもする。日暮れ時、今日はどちらから先に攻めるか。そう思うだけで楽しい。

鹿児島〈名山堀Nomae〉店内
温度、湿度調整完備のウォークインセラー。〈梅屋〉と共同で使用。
鹿児島〈名山堀Nomae〉店主・脇田
店主の脇田さん。ワインはフランソワ・サン・ロのレ・プーシュ。

Information

名山堀Nomae

TEL:なし
営:15時〜22時(金・土〜24時)
休:月曜、不定休

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