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「置き場所がないんです」共用廊下をふさいでいた女性。だが、車いすの住人を見て言葉を止めた

  • 2026.10.1
「置き場所がないんです」共用廊下をふさいでいた女性。だが、車いすの住人を見て言葉を止めた

体を横にして通っていた共用廊下

今のマンションに越して2年目の春、私の部屋へ向かう途中にある一室の前に、少しずつ物が増え始めました。

ベビーカーに子ども用の自転車、積み重ねた段ボール。幅1メートルほどの共用廊下では、場所によって物が半分以上を占め、通れる幅がかなり狭くなっていました。

私も帰るたびにバッグを胸に抱え、体を横にしながら通っていました。

特に気になっていたのは、同じ階に住むおばあさんのことです。車いすで暮らしていて、朝になると自分で車輪を回して散歩に出ています。

ある朝、その車いすがベビーカーの前で止まっていました。

「ごめんなさいね。ちょっと、ここだけ手を貸してくれる?」

私はベビーカーをできるだけ壁側へ寄せました。おばあさんは何度か車輪を切り返し、ゆっくりと狭い場所を抜けていきました。

「ありがとう。前はここ、まっすぐ通れたのよ」

その言葉が気になり、その夜、私は管理会社へ電話をしました。

管理会社が貼った消防点検の案内

翌日、管理会社の担当者から折り返しの電話がありました。

「『共用の廊下にベビーカーと私物があふれる』というご相談で間違いないでしょうか」

「はい。誰かを責めたいわけじゃないんです。ただ、普通に通れるようにしてほしくて」

数日後、40代くらいの男性の担当者が来て、廊下の壁に一枚の張り紙を貼りました。

「来月、消防点検があります。共用の廊下は避難通路です。私物は今月末までに室内へ移動してください」

担当者はそのまま、私物が置かれていた部屋のインターホンを押しました。

私は自室の前にいて、そのやり取りが聞こえてきました。出てきたのは40代くらいの女性で、腕には小さな子どもを抱いています。

「でも、置き場所がないんです。うちも狭くて…」

担当者は張り紙のほうを示しながら、落ち着いた声で答えました。

「そうですよね。ただ、ここは避難するときにも使う場所なので、通れる状態にしていただきたいんです」

女性は少し黙ったあと、廊下の奥にあるおばあさんの部屋のほうへ目を向けました。

「……分かりました。週末までに、中へ入れます」

止まらずに進めるようになった朝

週末になると、廊下から段ボールなどを運び込む音が聞こえてきました。

そして月曜の朝。ドアを開けると、廊下の床が奥まで見通せるようになっていました。

向こうから車輪の音が近づいてきます。

おばあさんは両手で車輪を回し、今度は途中で止まることなく私の前まで来ました。

「通りやすくなったわね」

そう言って笑ったとき、あの女性の部屋のドアが開きました。女性は子どもを抱いたまま顔を出し、少し照れたように頭を下げます。

「おはようございます。お散歩ですか」

おばあさんは「ええ」と笑って子どもに小さく手を振り、そのまま広くなった廊下を進んでいきました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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