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「この猫ちゃんが、うちの台所によく遊びに来ます」飼い主不明の猫。困った僕が首輪にそっと結んだメモ

  • 2026.10.1

開けた勝手口から入ってきた猫

夏のあいだ、台所の勝手口を少し開けておくのが我が家の習慣でした。

ある日、その隙間からするりと入ってきたのが、赤い首輪をした茶トラの猫です。

猫は床のにおいをかぎながら台所を歩き回り、冷蔵庫の横にちょこんと座りました。

外へ出そうと手を伸ばすと、ひょいと身をかわし、そのまま勝手口から出ていきます。

それからというもの、週に2度ほど同じ猫が顔を出すようになりました。

ある晩、焼いた魚をテーブルに置き、少しだけ席を外しました。戻ってみると、猫が椅子に前足をかけ、皿へ鼻先を近づけています。

「こら、それはだめだよ」

思わず声をかけると、猫はぱっと床へ降り、そのまま外へ駆けていきました。幸い、魚は無事でした。

その夜、妻にその話をすると、少しあきれたように言われました。

「また来たの?今週これで2回目じゃない」

「そっちのときも来たの?」

「来たわよ。干物のほうをじーっと見てた」

「首輪してるし、やっぱり飼い猫だよな」

妻はお向かいにも聞いてみたそうですが、飼い主が誰なのかは分からなかったといいます。

赤い首輪に結んだ小さなメモ

もちろん、勝手口を閉めておけば猫は入ってきません。ただ、知らない家の台所にまで入り込んでいることを、飼い主が知らない可能性もあります。

このまま何も伝えないより、一度知らせたほうがいいのではないか。

そう考えた僕は、メモ用紙を小さく切り、ボールペンで一言だけ書きました。

「この猫ちゃんが、うちの台所によく遊びに来ます。角の白い家より」

次に猫が来た日、煮干しを一本だけ床に置きました。

猫が食べているあいだに紙を細く折り、赤い首輪にそっと結びます。

猫はいつものように外へ出ていきました。

翌日、玄関に立っていたのは

翌日の夕方、玄関のチャイムが鳴りました。

戸を開けると、60代くらいの女性が、あの茶トラを胸に抱いて立っています。

「首輪のメモを見ました。すみません、まさかお宅に入っていたなんて…」

女性は申し訳なさそうに頭を下げました。腕の中の猫だけは、何事もなかったように僕を見上げています。

「この前は、テーブルの魚にも近づいていて。食べられはしなかったんですけど」

「本当にすみません。これからは外へ出ないようにします」

後ろから出てきた妻も、ほっとした様子でうなずきました。

「そうしていただけると助かります」

女性は、お詫びにと手作りのおはぎが入った紙袋を差し出しました。

「人が好きな子で、外に出るとあちこち行ってしまうみたいで……。教えてくださってありがとうございました」

それから、勝手口から茶トラが入ってくることはなくなりました。

散歩の途中で女性の家の前を通ると、ときどき窓辺に赤い首輪の茶トラがいます。日なたで丸くなりながら、こちらを見ている姿を見るたび、あの小さなメモを思い出します。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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