1. トップ
  2. 暮らし
  3. 教習生「あの車、追いかけていいですか?」下り坂でアクセル全開に…路上教習中に起きた“思わぬ事態”

教習生「あの車、追いかけていいですか?」下り坂でアクセル全開に…路上教習中に起きた“思わぬ事態”

  • 2026.11.4
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

「車のハンドルを握ると、人が変わる」。そんな言葉を耳にすることがあります。普段は穏やかな人が、運転を始めると別人のようになる様子を表したものです。ここまで極端でなくても、割り込みや強引な追い越しをされて、思わずムカッとしたり怒りを覚えたりする場面は少なくありません。

実は路上教習中にも、教習生の一言にドキッとさせられた経験があります。その場面をもとに、運転中のアンガーマネジメント(怒りの感情と上手に付き合うための方法)を考えてみましょう。

思わず耳を疑った教習生の一言

路上教習(教習所の外の一般道路を走る教習)で、制限速度を守って順調に走っていたときのことです。後ろから来た車が、やや強引に教習車を追い越していきました。

その直後、運転席の教習生から「あの車、追いかけていいですか?」という一言が。アクセルを踏む右足にも、グッと力が入ったように見えたのです。

「危ないから、このままの速度で行こう!」

すぐにそう声をかけ、補助ブレーキ(助手席にある指導員用のブレーキ)に足を構えました。横目で教習生の顔を見ると、いつもとは違う険しい目つきです。アクセルペダルは床まで踏み込まれ、エンジンの回転数が一気に上がっていきました。

ちょうど下り坂に差しかかり、補助ブレーキを踏んでも速度は上がる一方でした。何度呼びかけても止まらず、私はチェンジレバーをN(エンジンの力をタイヤに伝えない位置)に入れて「やめんかっ!」と一喝。

教習生がハッとした様子を見せたのは、そこまでしてからでした。「なんだかスイッチが入ってしまって…」と、気まずそうに話してくれました。

教習中に、ここまで感情的になって行動に移す人は、めったにいません。それでも、追い越されたときに感情が一瞬波立つのは、珍しいことではないはずです。

教習車を相手に強引な追い越しや割り込みをするドライバーは、かつてよく見られました。あおり運転が社会問題になってからは減った印象ですが、今もゼロではないのが現状です。

ハンドルを握ると心が揺れやすい理由

車の中は、周りから切り離された自分だけの空間です。そのため、普段より気が大きくなったり、割り込みや追い越しを「自分への挑発」と受け止めたりする人もいるかもしれません。

こうした怒りが攻撃的な運転につながってしまうのが、ロードレイジ(運転中の怒りから攻撃的な行動をとること)です。特に、運転経験が浅い時期や気持ちに余裕がないときほど、周りのペースに巻き込まれやすくなります。

運転適性検査(運転に関わる性格や行動特性を調べる検査)でも、こうした傾向が表れる人がいるのは確かです。

感情に任せた運転は妨害運転罪の対象にも

怒りに任せてほかの車を追いかけたり、車間距離を極端に詰めたりする運転は、思わぬ事故につながりかねません。妨害する目的で行えば、妨害運転罪(いわゆるあおり運転)に問われることもあるのです。

2020年6月30日施行の改正道路交通法で新設された罪で、罰則は最大3年の拘禁刑(刑事施設に収容される刑罰)。著しい交通の危険を生じさせた場合は、最大5年の拘禁刑となります。1回の違反でも、運転免許の取消処分の対象です。

一瞬の感情が重大な事故を招き、免許や日々の暮らしを失うきっかけにもなり得ます。

反対に、自分が妨害運転を受けたときは、張り合わずに安全な場所へ避難しましょう。警察庁は、車外に出ずにためらわず110番通報するよう呼びかけています。ドライブレコーダーは危険な運転の抑止に有効なうえ、いざというときの証拠にもなるでしょう。

感情に振り回されないための3つのポイント

1つ目:追い越されたり割り込まれたりしたときは、「譲る・離れる」を心がけること。張り合って速度を上げると、車間距離が急に縮まり、急ブレーキにもつながって危険です。

2つ目:「お先にどうぞ」という気持ちでアクセルを緩め、車間距離を十分にあけることです。これが、身を守る運転の基本になります。

3つ目:感情が波立ったと感じたら、ハンドルを握り直して深呼吸をすること。心の中で「急いでいるんだな」「安全第一」と唱えるなど、切り替えの言葉を決めておくと、荒い運転を防ぎやすくなります。

公道はプライドを競い合う場所ではない

公道は、マウントを取って(相手より優位に立とうとして)勝ち負けを決める場所ではありません。感情的になった瞬間こそ、一歩引いて冷静になる。その姿勢が、自分や同乗者、周りの人の命を守ることにつながります。

安全運転は、免許を持つ限り続く長距離ドライブです。

参考:
危険!「あおり運転」はやめましょう(警察庁)


ライター:ちだてつし
自動車教習所の指導員・技能検定員として、23年間にわたり現場で安全運転の指導・検定を担当。現在はその専門知識と現場での実務経験を活かし、安全運転やドライブテクニックに関するWebライターとして活動中。また、ペーパードライバーや外免切り替えの事業を展開し、運転に自信のないライダーを対象に、実践的なツーリングを通して運転技術を身につける「日本ツーリングサポート協会」を設立・運営。「安全で楽しいカー&バイクライフ」を伝える発信を行っている。日本二輪車普及安全協会の二輪安全運転指導員として活躍中。


【エピソード募集】運転中、駐車場で…「えっ!」と思った体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる

注目コンテンツ