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「これ、おすそわけよ」と開封済みのお菓子を2度くれたお隣さん。3度目の訪問で僕が返した言葉

  • 2026.9.30

玄関に届く開けかけの袋

隣の家には、80代くらいのおばあさんがひとりで住んでいる。朝になると庭の鉢植えに水をやり、通りかかった人によく声をかける、にぎやかな人だった。

ある土曜の昼、玄関のチャイムが鳴った。出てみると、おばあさんが紙袋を差し出している。

「これ、おすそわけよ。遠慮しないで」

「ありがとうございます」

受け取って台所で中を見ると、お菓子の袋はすでに開いていて、口が輪ゴムで留められていた。一緒に入っていた総菜のパックは、賞味期限がその日だった。

翌週にも、同じように開封済みのお菓子が届いた。

袋の底には、「おすそわけ」と手書きされた小さなメモが入っている。

夜、妻が紙袋を見ながら首をかしげた。

「これで2回目だよね」

「うん。気持ちはありがたいんだけどな」

「開いてるものは、ちょっと困るね…」

僕も同じ気持ちだったが、善意で持ってきてくれていると思うと、なかなか断りづらかった。

翌朝、ゴミ出しに出たところで、向かいの奥さんから声をかけられた。

「お隣から、食べ物もらうことない?」

話を聞くと、向かいの家にも同じようなものが届いていたという。ほかの近所の家にも配っているらしく、開封済みのものは口にしにくいものの、角が立ちそうで断れずにいる人もいるそうだ。

「悪い人じゃないのよ。でも、何て言えばいいのか分からなくて」

次に来たとき、はっきり伝えた

次の日曜の夕方、またチャイムが鳴った。

おばあさんはいつもの笑顔で、輪ゴムで口を留めた袋を差し出した。

僕は今回は受け取らず、できるだけやわらかく伝えた。

「いつもありがとうございます。ただ、開けてあるものは、うちでは受け取れないんです」

おばあさんの手が止まり、表情が少し曇った。

そこで僕は続けた。

「その代わり、よかったら今度、うちでお茶を飲みませんか。妻がお菓子を焼くのが好きなので」

おばあさんは手元の袋に目を落とし、少し黙ってから胸元へ引き寄せた。

「……そうね。開けたものは困るわよね」

「土曜の午後なら、妻も家にいます」

「じゃあ、お邪魔しようかしら」

次の土曜、おばあさんは庭の花を一輪持ってやって来た。妻が焼いたクッキーをひと口食べると、ぱっと表情を明るくした。

「おいしいわね。作り方、教えてもらえる?」

妻も笑ってうなずいた。

それから、玄関に開けかけの袋が届くことはなくなった。

後日、ゴミ出しに出ると、おばあさんと向かいの奥さんが並んで立ち話をしていた。僕に気づいた向かいの奥さんが、小さく手を振る。

「今度はうちにも、お茶に来てくれるんですって」

断りにくいからと黙って受け取り続けるより、一度きちんと伝えたほうが、お互いに気まずくならずに済むこともあるのだと感じた出来事だった。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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