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教習生「間違えました、どうしよう…」指導員が同乗しない無線教習中、実際にS字コースで起きた“背筋が凍る瞬間”

  • 2026.10.12
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

教習所によっては、指導員が同乗しない「無線教習」を行っています。教習生が一人でコースを走り、無線の指示を頼りに運転する方法です。

今回ご紹介するのは、その無線教習で起きた出来事です。教習生がS字コース(S字形に曲がりくねった狭い道、通称Sコース)に出口から入り、逆走してしまいました。

一般道や高速道路での逆走も、たびたびニュースで報じられているのが現状です。なぜ逆走は起きるのか?初心者が陥りやすい「空間認識の錯覚」を手がかりに、防ぐためのポイントを指導員の視点から解説します。

無線教習中に起きた出来事

無線教習は、ある程度の技能を身につけた教習生が受ける教習です。指導員は車に乗らず、離れた場所からコース全体を見渡して、必要なときだけ無線で指示を送ります。

その日も、教習生は順調にコースを周回していました。ところが何周目かに入ったところで、ためらう様子もなくS字コースの出口から入っていったのです。

すぐに無線で逆走を伝えると、焦った声が返ってきました。

「間違えました、どうしよう…」

幸い、周囲にほかの教習車はおらず、無線で誘導しながらSコースを抜けてもらいました。教習後に本人が口にしたのは、「もし対向から教習車が来ていたらと思うと、生きた心地がしなかった」という言葉でした。

逆走の背景にある「空間認識の錯覚」

逆走の原因の一つとして考えられるのが、自分の位置や進む方向を取り違える「空間認識の錯覚」です。コースのつくりによっては、S字コースの入口と出口の見た目がよく似ています。何周も走るうちに、頭の中の地図があいまいになることもあるでしょう。

また、運転に慣れないうちは、ハンドル操作や車幅の感覚に意識が向きやすいもの。視線が手前に集まると、標識や路面の標示を見落としやすくなるのです。

狭路(幅の狭い道)や交差点でも、同じような錯覚は起こります。中央線のない道で、道の真ん中を走るつもりが右に寄ってしまうケースはその一例。修了検定(仮免許を取るための検定)で右側を走って逆走し、検定中止(不合格)となることもあるほどです。

一般道や高速道路でも起きる逆走

国土交通省によると、2025年に高速道路で起きた逆走は297件。2011年以降で最も多い件数となりました。動機別では「過失」が38%と多く、「認識なし」(逆走の自覚がない)が28%、「故意」が26%です。

2025年の年齢別では65歳以上が約6割を占めますが、65歳未満も3割以上にのぼります。年齢に関係なく、誰にでも起こり得ることといえるでしょう。

一般道では、一方通行の道に反対側から入るケースがあります。中央分離帯のある道路へ右折する際に、手前側の車線へ入ってしまうこともあるかもしれません。

背景として考えられるのは、「いつもの道だから」という思い込みや、道を間違えた焦り。夜間や雨で標識が見えにくいと、空間認識の錯覚はさらに起こりやすくなります。

逆走を防ぐために心がけたいこと

曲がる前に、「進入禁止」「一方通行」の標識や路面の標示を確かめましょう。中央線が自分の右側にあるかを確認するのも有効です。

経路を間違えても、慌てて引き返す必要はありません。高速道路なら、次の出口まで進んでから戻るのが基本です。本線(車が走行する車線)でのUターンやバックは、法律で禁止されています。

逆走に気づいたときは、NEXCO東日本が呼びかけている次の行動をとってください。

・安全な場所に停車し、ハザードランプを点灯する
・車内にとどまらず、近くの安全な場所に避難する
・110番や近くの非常電話で通報する

逆走車を見かけたら、速度を落として十分な車間距離をとりましょう。前方に逆走車を見つけたときは、路肩などの安全な場所に停車して衝突を避けることが大切です。

迷ったときは、一度止まって確認

教習所内なら、同乗時の補助ブレーキ(助手席側に付いた指導員用のブレーキ)や無線で車を止められます。しかし公道では、小さな錯覚が重大な事故につながるおそれもあるのです。

「自分は大丈夫」と思わず、標識や路面の標示を一つずつ確かめてください。迷ったときは、一度止まって確認することも大切です。その積み重ねが、自分と周りの人の安全を守る力になります。


参考:
逆走にご注意を―無くそう逆走―(NEXCO東日本)
高速道路の逆走発生状況(国土交通省)
道路交通法(デジタル庁)


ライター:ちだてつし
自動車教習所の指導員・技能検定員として、23年間にわたり現場で安全運転の指導・検定を担当。現在はその専門知識と現場での実務経験を活かし、安全運転やドライブテクニックに関するWebライターとして活動中。また、ペーパードライバーや外免切り替えの事業を展開し、運転に自信のないライダーを対象に、実践的なツーリングを通して運転技術を身につける「日本ツーリングサポート協会」を設立・運営。「安全で楽しいカー&バイクライフ」を伝える発信を行っている。日本二輪車普及安全協会の二輪安全運転指導員として活躍中。


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