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「次の給料が出てからで」修理を先延ばしにした30代男性、彼女との旅行中に高速道路で…“30万円の大誤算”

  • 2026.10.12
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

「まだ走れるから大丈夫」

そんな判断が、思わぬ高額修理につながることがあります。

私が以前から付き合いのある知人で、30代男性のYさんも、そんな経験をした一人です。Yさんがあるとき、カー用品店で愛車を点検してもらった際、冷却系統に小さな異常が見つかりました。しかし、その時点では走行に大きな支障がなく、修理を後回しにしてしまったそうです。

その数週間後、彼女との旅行中に異変が発生。最終的には旅行を中止しただけでなく、エンジン内部までダメージが及び、修理費は約30万円にまで膨らんでしまいました。

「今すぐ壊れるわけじゃない」と修理を先延ばしに

きっかけは、カー用品店での点検でした。Yさんによると、ウォーターポンプ周辺に冷却水がにじんだ跡が見つかり、店員から交換を勧められたそうです。

「かなり少ない漏れですが、放置すると悪化する可能性があるので、交換をおすすめします」

ただ、その時点では冷却水が一気に減っているわけでもなく、水温計にも異常はありませんでした。修理には数万円程度かかる見込みだったため、Yさんは、

「今すぐ止まるわけじゃないなら、次の給料が出てからでいいかな」

と考えました。

こうした判断には、費用面だけでなく、「本当に今すぐ必要なのだろうか」という疑念もあったようです。

車の修理は内容によっては数万円、場合によっては10万円以上になることもあります。さらに、専門的な知識がなければ「交換したほうがいい」と言われても、その緊急度を判断するのは簡単ではありません。「営業トークなのでは?」と考えてしまったり、今は普通に走れているからと先送りしたりするのも、決して珍しいことではないでしょう。

その後、Yさん自身は特に異常を感じなかったため、修理をしないまま数週間が経過しました。

旅行先へ向かう高速道路で水温計に異変

そして迎えた週末。Yさんは彼女との旅行のため、高速道路を走っていました。

ところがしばらく走ったところで、水温計が普段より高い位置を示していることに気づきます。

「ちょっと上がってるけど、まだ大丈夫だろう」

そう考えて走行を続けたYさんでしたが、サービスエリアを目前にして警告灯が点灯。さすがに不安になり、路肩へ安全に停車してからボンネットを開け、半透明のリザーバータンクを目視で確認しました。すると、冷却水が大幅に減っていることが分かりました。

その後、レッカーで搬送して点検を受けたところ、以前指摘されていたウォーターポンプ周辺の冷却水漏れが進行していたことが判明しました。ここで注意したいのは、最初の点検時点では「少量のにじみ」という状態で、ただちに走行不能になるような不具合ではなかったことです。

そのため、最初の点検時にそのまま車を運転して帰ったこと自体がただちに危険だったという話ではありません。しかし、漏れが確認されていた以上、時間の経過とともに状態が悪化する可能性はありました。結果的に今回は、長距離・高速道路走行という負荷がかかる状況で症状が進行してしまったのです。

数万円の修理を後回しにした結果、約30万円に

点検の結果、冷却水不足によってエンジンがオーバーヒートし、シリンダーヘッドにもダメージが及んでいることが分かりました。

修理費は約30万円規模。旅行はそのまま中止になりました。

後日、Yさんは私に、

「最初にウォーターポンプを交換しておけば、数万円で済んだかもしれないのに」

と話していました。

冷却系統のトラブルは、「冷却水を足せば終わり」と考えてしまいがちですが、冷却水が減ること自体が問題のサインです。冷却系統は一定の圧力を保ちながらエンジンを冷却しているため、漏れが発生すると冷却水が不足するだけでなく、正常な冷却性能を維持できなくなる可能性があります。

もし冷却水の減少、駐車場所に液体が垂れた跡、エンジンルーム内のにじみ、冷却水特有の甘い臭いなどに気づいた場合は、「とりあえず補充しておけばいい」と考えず、原因を確認することが大切です。特に長距離や高速道路を走る予定があるなら、事前の点検はより重要になります。少しでも冷却系統に異常を指摘されているのであれば、旅行を延期してでも修理を優先するという判断も必要でしょう。

なお、オーバーヒートした直後にボンネットを開けて確認する場合も注意が必要です。冷却系統が高温・高圧になっている可能性があるため、熱い状態でラジエーターキャップを絶対に開けてはいけません。高温の冷却水や蒸気が噴き出し、重い火傷につながる危険があります。十分に冷えるまで待ち、不安がある場合は無理に確認せず、ロードサービスなどに相談してください。

「まだ走れる」という状態と、「そのまま走り続けても問題ない」という状態は同じではありません。

Yさんのケースでは、最初の異常を放置したことで、結果的に修理費は約30万円規模となり、楽しみにしていた旅行も中止になってしまいました。車から出ている小さな異常を「今は問題ない」と片付けず、早めに原因を確認することが、大きな出費やトラブルを防ぐことにつながります。


ライター:松尾佑人(二級ガソリン自動車整備士・二級ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り、約8年間整備に従事したのち、現役メカニックに向けた故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読み解きを基盤とした電子制御システムの解説を得意としている。


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