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「同じ色を買ったのに…」車の傷をDIY補修したら塗ったところだけ目立つ?元メーカー塗装担当が解説

  • 2026.10.13
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

車に小さな傷を見つけたとき、「同じ色の塗料を塗れば、それほど目立たなくなるのでは」と考える人もいるでしょう。ホームセンターやカー用品店には、車体のカラーコードに合わせた補修用の塗料も並んでいます。

筆者も車やバイクをDIYで補修することはありますが、基本的には目立たない部分に限っています。これまで自動車の塗装工程や品質を見てきた経験から、同じ色の塗料を使っても、周囲と違和感なく完全に元の状態へ戻すのは非常に難しいと知っているためです。

大手自動車メーカーで塗装ラインの構築や塗装品質の確認に携わった筆者の経験をもとに、なぜ同じカラーコードの塗料を使っても、DIYでは補修跡が目立つことがあるのかを解説します。

「同じ色を買ったのに…」カラーコードだけでは見た目は決まらない

カラーコードは、その車に使われている塗装色を確認するための重要な情報です。しかし、カラーコードが同じだからといって、補修後の見た目まで同じになるとは限りません。

自動車の塗装は、塗料そのものの色だけで仕上がりが決まるわけではないからです。塗膜の厚さや塗料の付き方、下地の状態などによっても見え方が変わります。

さらに、長く乗っている車では、紫外線や雨などにさらされることで、新車時と比べて塗装の状態が変化している場合があります。新品の補修塗料と現在の車体の塗装では、同じカラーコードでもわずかな違いが出ることがあるのです。

筆者が塗装品質を確認していた際も、「色が合っているか」は単純に正面から見るだけでは判断していませんでした。ライトで照らされた車体がラインを流れるなか、見る位置や姿勢を変えながら塗装面を確認していました。正面から見たときには気にならなくても、斜めから見ると色ムラや違和感に気づく場合があります。

また、車体の塗装は、どの部分もまったく同じ条件で塗ればよいわけではありません。天井のような水平面、ドアのような垂直面、曲面の多い部分では、塗料の付き方や垂れやすさなどが異なります。筆者が携わっていた塗装工程でも、部位や塗膜に応じて適切な膜厚になるよう管理されていました。

つまり、同じ塗料を使っていても、塗る場所や塗膜の厚さが変われば仕上がりにも差が出ます。これが、DIYで周囲の塗装と自然につなげるのが難しい理由の一つです。色を合わせることは、単に同じ番号の塗料を用意するだけでは終わらないのです。

メタリックやパールは塗り方で輝き方が変わる

塗装条件の違いが特に見た目に表れやすいのは、メタリックやパールなどの塗装です。

メタリック塗装には金属のような輝きを出す細かなアルミ片などが、パール塗装にはマイカ(雲母)を使った細かな粒子が含まれています。これらが光を反射することによって、独特の輝きや色の変化を生み出しています。

これらの塗装では、単に塗料の色が合っているだけでは十分ではありません。塗膜の中でアルミ片やマイカなどがどのような向きで並ぶかによって、光の反射の仕方が変わるためです。

筆者が自動車メーカーの塗装工程に携わっていたときも、塗料を吹き付ける距離や角度、速度などの条件を安定させることが、一定の仕上がりを保つうえで重要でした。条件が変われば粒子の並び方にも違いが生じ、同じ塗料を使っていても、周囲より明るく見えたり暗く見えたりすることがあります。

DIYでは、こうした条件を毎回一定に保つのは簡単ではありません。スプレーを近づけすぎたり、動かす速度にばらつきがあったりすると、補修した部分と周囲で見え方に差が出ることがあります。

カラーコードは合っているのに、「なぜか塗ったところだけ目立つ」。特にメタリックやパールでは、塗料の色だけでなく、その塗り方まで仕上がりを左右するのです。

DIY補修では「元通り」を目指しすぎない

では、DIYによる補修は避けたほうがよいのでしょうか。筆者はそうは考えていません。

小さな飛び石傷や、あまり目立たない場所の塗装の欠けであれば、タッチアップペイントなどで傷を保護したり、以前より目立ちにくくしたりする方法があります。

筆者自身がDIY補修を目立たない部分に限っているのも、「補修すること」と「完全に元の見た目へ戻すこと」は別だと考えているためです。

塗料を厚く塗れば、その部分だけ盛り上がって見えることがあります。反対に、段差を消そうとして研磨しすぎれば、周囲の正常な塗膜まで削ってしまう可能性があります。ほこりなどが付着した状態で塗装すれば、それが新たな凹凸になることもあります。さらにメタリックやパールでは、色そのものだけでなく、光を反射する粒子の状態まで仕上がりに影響します。

DIYで補修するなら、「完全に元通りにする」ことだけを目標にするのではなく、「傷を保護したい」「以前より目立ちにくくしたい」など、目的を決めておくとよいでしょう。

同じカラーコードの塗料を選ぶことは大切です。しかし、それだけで周囲と同じ見た目になるわけではありません。筆者が塗装工程や品質を見てきた経験からも、同じ色を「同じように見せる」ことこそ、自動車塗装の難しい部分だと感じています。


筆者:jaco

大手自動車メーカーで、自動車の塗装ラインの構築に携わった。車体の塗装面に色むらや異物がないか、品質検査を行った経験もある。現在はITエンジニア兼Webライターとして、ものづくりの現場で得た経験を生かして執筆している。趣味はキャンプ、登山、旅行。フリーランス時代には年間50泊ほどのキャンプを楽しみながら、アウトドアやIT系の記事を執筆していた。


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