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「数万円なら今度でいいや…」彼女との旅行中に水温計が急上昇、30代男性を襲った“100万円”の大誤算

  • 2026.11.1
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

車の不具合に気づいても、「今すぐ走れなくなるわけではないし、修理は後でいい」と考えてしまうことはないでしょうか。

しかし、小さな異常を放置した結果、思わぬ高額修理につながるケースがあります。今回は、私の知人である30代男性のHさんから聞いた、冷却水漏れをきっかけにエンジンを損傷させてしまった体験を紹介します。

駐車場に残る液体の跡「数万円なら今度でいい」

Hさんは彼女とのドライブが趣味で、週末には高速道路を使って遠方まで出かけることも多い人でした。そんなHさんの車で、あるときから駐車した場所に液体の跡が残るようになりました。

「最近、車を停めたところに水みたいなのが落ちてるんですよ」

確認してみると、冷却水と思われる液体が漏れており、点検ではウォーターポンプやホースなど、冷却系統の一部に異常が見つかりました。

修理費用は数万円程度の見積もりでした。ところがHさんは、すぐに修理することを決めませんでした。

「数万円か。今すぐ走れなくなるわけじゃないなら、ちょっと先でもいいかな」

こうした判断には、決して珍しくない心理があります。車の修理は予定外の出費になりやすく、「本当に今必要なのか」と疑ってしまうこともあります。また、車に詳しくなければ、不具合の重大さを判断するのも簡単ではありません。

しかし、冷却水漏れは単なる「水が少し減るだけ」の問題とは限りません。

旅行中に水温上昇!安全な場所に停車して救援を依頼

その後もHさんは車に乗り続けました。冷却水は少しずつ減っていたものの、普段の走行では大きな異常を感じなかったためです。そして迎えた彼女との旅行当日。高速道路を含む長距離走行の途中で、Hさんは車の異変に気づきました。

「なんか水温がいつもより高い」

さらに走行を続けるうち、水温警告灯が点灯するなど、明らかな異常が発生。この時点でHさんは無理に走行を続けず、安全な場所に停車してエンジンを停止。救援を依頼しました。

冷却水はエンジン内部で発生する熱を吸収し、適切な温度に保つために重要な役割を担っています。漏れが進行して冷却水が不足すると、冷却性能が低下し、オーバーヒートにつながる可能性があります。もちろん、冷却水が漏れているからといって、必ずオーバーヒートするわけではありません。漏れの量や損傷箇所、走行距離、外気温、渋滞や高速走行などの条件によって状況は変わります。

ただ、今回は最終的にオーバーヒートが発生。点検の結果、エンジン内部にも損傷が確認されました。

数万円の修理を後回しにした結果、約100万円に

当初は冷却系統の部品を修理・交換することで対応できる可能性があったHさんの車。

しかし、オーバーヒートによってエンジン内部まで損傷したことで、修理内容は大きく変わりました。最終的にはエンジン載せ替えを含め、修理費用は約100万円に上りました。

「最初の数万円を払っておけばよかった」

Hさんはそう振り返っていました。

車の修理費用は車種や部品、損傷の程度、作業内容などによって大きく異なります。冷却水漏れの場合も、ホースなど比較的安価な部品交換で済むケースがある一方、ウォーターポンプやラジエーターなど複数の部品が関係すれば費用は上がります。さらにエンジン本体まで損傷すれば、数十万円から100万円以上になることもあります。

では、冷却水漏れを早期に見つけるには、どうすればよいのでしょうか。まず、駐車した場所に赤・緑・青などの液体が残っていないか確認しましょう。車種によって冷却水の色は異なるため、色だけで断定することはできませんが、普段なかった液体の跡が続く場合は要注意です。ボンネットを開けられる場合は、エンジンが十分に冷えた状態でリザーバータンクの液量を確認するのも方法のひとつです。液量が明らかに減っている場合、単純に補充するだけではなく、なぜ減ったのかを整備工場で確認してもらうことが大切です。

また、走行中に水温計が普段より高い位置を示したり、水温警告灯が点灯したりした場合は、「もう少し走れるだろう」と考えないようにしましょう。安全な場所に停車してエンジンを止め、必要に応じてロードサービスなどへ救援を依頼してください。

特に注意したいのが、熱い状態でラジエーターキャップを開けることです。内部には高温・高圧の冷却水が入っているため、蒸気や冷却水が噴き出して、やけどをする危険があります。異常時には無理に確認しようとせず、安全を優先してください。

Hさんの場合、数万円程度だった修理を後回しにした結果、最終的には約100万円規模の修理に発展しました。「冷却水が少し減っているだけ」と軽く考えず、異常の原因を早めに確認すること。それが結果的に、時間も費用も大きく抑えることにつながるかもしれません。


ライター:松尾佑人(二級ガソリン自動車整備士・二級ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り、約8年間整備に従事したのち、現役メカニックに向けた故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読み解きを基盤とした電子制御システムの解説を得意としている。


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