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父「お前にこの車のイメージはない」念願のゴルフ2 GTIを購入した20歳男性に一喝…2年後に訪れた“意外な逆転劇”

  • 2026.10.27
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出典:PIXTA(※画像はイメージです)

1991年式のフォルクスワーゲン・ゴルフ2 GTI。今回お話を伺った男性・Aさんが購入したこの車に対し、父親は納車直後に予想外の言葉をかけました。当時のAさんは服装に無頓着で、お洒落な輸入車とのギャップがあったのかもしれません。

しかし、その一言が少しずつAさんを変えていきます。これは、一台の古い車と過ごすうちに、やがて周囲から「似合うね」と言われるようになるまでの、少し不器用で温かい日常の物語です。

憧れだった古い輸入車と、父からの意外な一言

18歳で手に入れたマニュアル車のスズキ・アルトから、Aさんのカーライフは始まりました。その後、自動車整備の専門学校へ通い、アルバイト先で出会った先輩の影響を受けるなかで、次第に古い輸入車へ惹かれていったそうです。そして2019年9月、ついに念願だった1991年式のフォルクスワーゲン・ゴルフ2 GTIを迎えることになります。当時の走行距離は約17万kmに達していましたが、左ハンドルのマニュアル車という条件を満たす理想の一台でした。

納車日には両親も一緒に販売店へ付き添ってくれたそうです。しかし、無事に車を受け取った直後、父親から投げかけられたのは、「お前にはこの車のイメージがないな」という意外な言葉でした。父親は国産車を新車で買い、長く乗り続けるタイプだったため、当時すでに30年近く前だったドイツ車を選ぶ息子の決断が不思議に映ったのかもしれません。

また、当時のAさんは両親が買ってくれた服を長く着続けるような、ファッションには無頓着なタイプだったといいます。そんな彼と、お洒落な古い輸入車との間には、確かに微笑ましいほどのギャップがあったようです。

「似合わない」という言葉が教えてくれたこと

父親の言葉には決して悪意があったわけではなく、単なる素直な感想だったのだと思われます。Aさん自身も、最初はそれほど深く気に留めていないつもりでした。それでも、ドライブ先の駐車場で愛車を眺めているときなど、ふとその言葉が頭をよぎることがあったそうです。

しかし、その小さな引っかかりは、やがて前向きな感情へと変わっていきます。せっかく素敵な車に乗るのだから、自分自身も少し格好をつけてみたいと考えるようになったとのことです。

そこからAさんは、同年代の旧車オーナーたちがどのような服装をしているのか、雑誌などを通じて参考にするようになります。まずはキーケースを革製品に変えてみたり、財布を新調したりと、少しずつ自分の持ち物や身なりに気を配り始めました。車に合わせて無理に別人になろうとしたわけではなく、ごく自然な形で新しい興味の扉が開いていった様子がうかがえます。

古い車が繋いでくれた、新しい出会いと会話

外見に少しずつ変化が現れるのと並行して、内面や人付き合いにも新しい風が吹き始めます。もともとAさんは、自分から見知らぬ人へ積極的に話しかけるタイプではなかったそうです。ところが、趣味の自転車イベントへゴルフ2で足を運ぶようになると、少しずつ状況が変わっていきました。

あるイベント会場でのこと、以前から憧れていた自転車業界の人物から声をかけられる機会がありました。その方が昔ゴルフ2に乗っていたという共通点だけで、驚くほど会話が弾んだといいます。車の話題から始まり、自転車のこと、そしてお互いのことへと自然に話が広がっていきました。

自分から話題を振るのが得意ではなくても、そこに古い車があるだけで人と人との間に温かい繋がりが生まれることがあります。Aさんにとってゴルフ2は、単なる移動の道具を超えて、周囲とのコミュニケーションを助けてくれる大切な相棒になっていったようです。

納車から2年後。友人からの言葉と、少し笑える旧車の現実

そうしてゴルフ2とともに過ごし、納車からおよそ2年が経った頃、Aさんにとって忘れられない出来事が起こります。同じ専門学校に通っていた同級生から、何気なく「その車、似合うね」と言われたのです。その瞬間、かつて納車直後に父親から言われた言葉が蘇り、2年という月日をかけてようやく似合う人間になれたのかもしれないと、静かな喜びを感じたそうです。

しかし、そんな心温まる成長の裏側には、旧車ならではの少し笑える現実も待っていました。Aさん自身はお洒落なオーナーへと近づいていったものの、肝心の車は遠慮なく不調を訴えてきます。突然エンジンがかからなくなったり、クラッチが切れなくなったりすることは珍しくありませんでした。時には、トランスミッションの不調により3速と4速しか使えない状態で、遠方から何とか帰宅したこともあったといいます。

それでもAさんは、壊れた分だけさらに愛着が増していくと笑って振り返ります。貴重な古い車だからといって大切にしまい込むのではなく、趣味のイベントや日常の足としてガシガシ使い倒すのがAさんのスタイルです。手のかかる車だからこそ、ともに過ごす時間がより濃密なものになるのかもしれません。

好きで乗り続ければ、自分が車に似合っていく

27歳になった現在、Aさんの車の走行距離は約23万kmに達しています。今は現代的で圧倒的に速いゴルフ6 Rも所有し、2台体制でカーライフを楽しんでいるそうです。それでも、電子制御が少なく、自分で機械を操っているというダイレクトな感覚を味わいたくなり、定期的にゴルフ2のステアリングを握らずにはいられないといいます。

そして、この物語には興味深い続きがあります。かつては国産車を新車で買い、長く乗り潰すことにこだわっていた父親ですが、現在は息子の影響を受けたのか、中古の欧州車に乗っているそうです。「似合わない」という一言から始まったゴルフ2との生活は、彼自身を成長させただけでなく、父親の車選びにまで新しい価値観をもたらしたのだと思われます。

乗りたい車が最初から自分に似合っている必要はありません。純粋に好きで乗り続けていれば、いつの間にか自分のほうがその車に似合う人間へと変わっていくこともあるのだと、Aさんの経験が優しく教えてくれます。



ライター:Masaki.N
自動車メーカーで車体開発エンジニアとして設計・先行開発に携わった後、マーケティング/市場リサーチ領域で商品導入・訴求設計にも従事。さらに自動車サブスク系ITベンチャーでマーケティングを担当し、ユーザー視点のコミュニケーション設計を経験。現在は自動車ライターとして、新車情報、技術解説、モデル比較、中古車相場、維持費、業界動向まで幅広く執筆。SEO記事・コラム・インタビューなど媒体横断で制作し、専門知識を生活者の言葉に翻訳して「買う/持つ」の判断を支援します。加えて、カスタムを含む実車取材・体験を通じて得た一次情報を記事に落とし込み、机上の知識にとどまらない“現場感”のある解説を強みとしています。


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