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実家の解体費、6年前は200万円だったのに…築42年を更地にして売った55歳男性を襲った“想定外の誤算”

  • 2026.10.8
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。大手不動産会社に入社以降10年以上の現場経験があり、宅地建物取引士の資格を持つライターのT.Sです。親が亡くなったあとの実家の活用について、建物を解体して更地で売る方も多いのではないでしょうか。

今回は、以前に取った見積もりをもとに実家の売却を計画したところ、解体費が上がり、手元に残るお金が想定より減ってしまったYさんのお話を紹介します。

6年前は200万円だった解体の見積もりが270万円に

会社員のYさん(55歳)は、実家とは別の自宅で暮らしています。6年前に父が亡くなり、母が一人で暮らすか同居するかを家族で話し合いました。母がYさんの家に移る場合に備えて、実家を解体する費用の見積もりを取ると、金額は200万円でした。

その時は母が「この家に住み続けたい」と言ったため、同居を見送ることとしました。それから月日が流れて昨年、母が亡くなり築42年の木造2階建ての実家を相続したYさんは、更地にして売ることを決めました。その際、6年前に見積もりを取った解体費用200万円を前提に、手元に残る額を計算しました。

今年の3月、同じ解体会社に見積もりを頼み直すと、担当者から「解体の前に、石綿(アスベスト)の調査が必要です。調査の費用も見積もりに含まれます」と説明を受けました。

Yさんが了承すると、資格を持つ調査員が屋根や外壁を調べました。その結果をもとに届いた見積書は、270万円でした。

屋根と外壁に石綿があり、手作業で外すことに

Yさんが2通の見積書を見比べると、6年前は「石綿が見つかった場合は別途見積もり」の1行だけでした。今回は事前調査と除去の項目が加わり、石綿関連の費用だけで約50万円を占めていました。

解体そのものの費用も、6年前より20万円上がっていました。以前は200万円だったと伝えて理由を尋ねると、担当者は調査結果を見せながら説明してくれました。

「屋根のスレートと外壁の一部に石綿が含まれていました。割ると細かい繊維が飛ぶので、割らずに一枚ずつ手で外します。調べた結果は役所にも報告します」

Yさんは納得して、270万円で解体を頼みました。工事のあと、更地は予定通り売りに出せたものの、手元に残る額は計画より70万円少なくなりました。

石綿の調査を済ませた見積書で、手元に残る額を計算する

石綿は、吸い込むと健康を損なうおそれがあります。ここ数年で、すべての解体工事で「事前の調査を資格者が行うこと」が義務化され、一定規模以上の解体では「結果を役所に報告すること」も義務になり、調査と除去の費用が見積もりに入るようになりました。

古い家を解体して売るときは、昔の見積もりで手元に残る額を計算せず、石綿の調査を済ませた新しい見積書で計算しましょう。環境省は、調査の費用を見積もりに入れない解体会社や、結果を書面で報告しない解体会社に注意するよう呼びかけています。

解体を頼むときは、見積もりに事前調査の費用が入っているかと、結果を書面で受け取れるかを確かめましょう。

参考:
建物を壊すときにはどうしたら良いの?(環境省)
建築物石綿事前調査チラシ(発注者の皆様)(環境省)



ライター:T.S(宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランニング技能士)
大学卒業後、大手不動産会社に入社。10年以上にわたり、都心のタワーマンションから郊外の築古戸建てまで、数多くの現場経験を積む。現在は不動産ライターとして「業界の不都合な真実」や、消費者が陥りやすいマネーの罠について、実体験に基づく記事を執筆している。


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