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「タワマン30階なら、もっと高く売れるはず」9,000万円の申込みを断った50代夫婦→半年後に直面した“誤算”

  • 2026.10.8
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※ChatGPTにて作成(イメージ)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

大切な自宅を売るなら、少しでも高く売りたい。そう考えるのは自然なことです。購入したときに気に入った眺望や立地があれば「この部屋なら、もっと高く評価されるはず」と期待する方もいるでしょう。

しかし、その期待にこだわるうちに目の前の購入希望者を逃してしまうこともあります。

今日は、30階のタワーマンションを売却する際、購入申込みを断ったことで住み替え計画まで見直すことになった50代夫婦のエピソードをご紹介します。

もっと高く売れると予想。9,000万円の申込みを断る

5年前、50代のAさん夫婦からマンション売却のご相談を受けたときの話です。

Aさんはご自宅への思い入れが強く、特に窓から広がる景色は、夫婦にとってお気に入りのひとつだったそうです。住み替えを考えるようになった夫婦は、自宅を9,500万円で売り出しました。

売却活動を始めてしばらくすると、内見した方から9,000万円で購入したいという申込みが入ります。希望額より500万円低いものの、具体的に購入を検討している方からの申込みです。私からは「相場から見ても好条件であり、今後市況が変わるリスクもあります」とお伝えしたものの、返ってきたのは意外な答えでした。

「30階なら、もっと高く売れるはずです。今回はお断りします」

これまでマンション価格が上がってきたことも、Aさんの判断を後押ししていました。もう少し待てば、希望額に近い申込みが来る。夫婦はそう考えたのです。

同じマンションの売出物件が増えても…

ところが、その後は思うように話が進みませんでした。

同じマンションで、広さや間取りが似た部屋が相次いで売り出されるようになったのです。購入希望者にとっては、同じ建物の中で比較できる選択肢が増えたことになります。

Aさんの部屋への問い合わせや内見は、次第に減っていきました。競合する部屋の価格や購入希望者の反応を踏まえ、私から売出価格の見直しを提案しました。しかし、Aさんは決断できません。

「もう少し待てば売れると思うんです」

一度9,000万円の申込みがあったことも、かえって値下げをためらう理由になっていました。

「あの金額で買いたい人がいたのだから、次も来るはず…」

そう考えて待っている間にも、周囲の販売状況は変わっていきます。30階という条件だけでは、購入希望者を引き留められませんでした。

「もう別の物件を購入されています」

さらに時間が過ぎ、夫婦はようやく売出価格を下げることにしました。そこで気になったのが、以前9,000万円で申し込んでくれた方です。Aさんは私に、もう一度検討してもらえないか尋ねました。

しかし、私がその方の状況を確認すると、すでに別の物件を購入されていたのです。Aさんには、そのことをお伝えしました。

「以前の方は、もう別の物件を購入されています」

購入希望者にも、引越したい時期や予算があります。Aさん夫婦が希望額にこだわって待っている間に、その方は別の住まいを選んでいたのです。「今なら話を進めたい」と思っても、以前の申込みに戻ることはできません。

夫婦は新たな購入希望者を待ちながら、売却条件を見直すことになりました。

半年後、8,500万円で売却。「あのとき受けていれば…」

売り出してから半年後、Aさんの部屋は8,500万円で売却することになりました。以前の申込額より500万円低く、当初の売出価格からは1,000万円下がった金額です。その間も、管理費や修繕積立金の支払いは続いていました。

「高く売りたくて待ったのに、あのときより500万円も低くなるなんて…」

売却額が想定を下回ったため、夫婦は住み替え先にかける予算も減らさなければなりませんでした。当初の予算で探していた物件を見直し、次の住まいの条件を考え直すことになったのです。

「あのとき申込みを受けていれば…」

もちろん、9,000万円の申込みを受けていれば、必ずその条件で売却が成立したとは限りません。それでも、より高い金額を期待して断った結果、夫婦は売却額だけでなく、その先の暮らしにも影響を受けることになりました。

高層階や過去の値上がりだけで、売却価格を判断しない

高層階の眺望は、マンションの魅力のひとつです。ただし、購入希望者は階数だけでなく、価格や広さ、室内の状態、毎月の管理費や修繕積立金も比較して判断します。

また、これまで価格が上がってきたからといって、今後も上昇が続くとは限りません。

東京カンテイが2026年9月24日に発表した資料では、東京都の2026年8月の中古マンション70平米換算価格は、前月比0.2%下落。2年4ヶ月ぶりに前月を下回りました。なお、この数値は「売り希望価格」を集計したもので、実際に売買が成立した価格ではありません。

この数字だけで、個々のマンションの値下がりを判断することはできません。しかし、「待てばもっと高く売れる」と決めつけないことは大切です。

不動産売却では、価格だけでなくタイミングも重要です。希望額にこだわって待つうちに、購入希望者が別の物件を選んだり、競合する売出物件が増えたりすることもあります。その間も管理費や修繕積立金の負担は続きます。

「この金額で売ってよいのか」と迷ったときは、信頼できる不動産会社に相談することをおすすめします。同じマンションや周辺の成約価格、購入希望者の反応に加え、待つ場合の費用やリスクまで具体的に説明してもらいましょう。

夫婦で「いつまでに売りたいか」「どの金額なら住み替えができるか」を共有しておくことも大切です。少しでも高く売りたいという気持ちと、その先の暮らしの両方を踏まえて、売却のタイミングを考えましょう。

参考:「三大都市圏・主要都市別/中古マンション70㎡価格月別推移」(東京カンテイ)



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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