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「長くなりそうなら椅子どうぞ」うちの玄関前で立ち話する3人。だが、夫が椅子を持って行った結果

  • 2026.9.29
「長くなりそうなら椅子どうぞ」うちの玄関前で立ち話する3人。だが、夫が椅子を持って行った結果

玄関の階段前で始まる立ち話

念願の一戸建てに越して、初めての春を迎えたころのことです。

玄関の前には小さな庭があり、門柱の内側には車を止めるスペースもあります。

暖かくなったころから、近所の奥さんたち3人が、うちの玄関の階段前で立ち話をするようになりました。

40代から50代くらいの人たちで、週に2度ほど。話が始まると、小一時間続くこともあります。

困ったのは、それが娘の昼寝の時間と重なることでした。窓のすぐ外から笑い声が聞こえると、せっかく寝た娘がぐずって起きてしまいます。

「今日は暖かいねえ」

「ほんと。洗濯物もよく乾きそう」

そんな声が聞こえるたび、私はカーテンを閉めたり、居間で音楽を流したりしてやり過ごしていました。

悪い人たちではありません。これからも顔を合わせるご近所さんだと思うと、「ここで話さないでください」とはなかなか言えませんでした。

ある晩、夕食中に夫が私の顔を見て言いました。

「最近、疲れてない?昼間、何かあった?」

「近所の人たちがね、週に2回くらい、うちの玄関前でずっと話してるの。長いと1時間近く」

「玄関前って、門の中?」

「うん。ちょうど娘のお昼寝の時間で……でも、言いづらくて」

夫は少し考えてから、「次にいたら、俺から声かけてみるよ」と言いました。

夫が持って出た折りたたみ椅子

その週の土曜日。昼すぎに娘を寝かしつけると、また玄関の前から3人の笑い声が聞こえてきました。

すると夫は物置から折りたたみ椅子を持ってきて、玄関を出ました。私は廊下からそっと様子を見ていました。

夫は3人の前で椅子を広げながら、笑顔で声をかけました。

「長くなりそうなら、よかったら椅子どうぞ」

3人がきょとんとすると、夫は続けました。

「ただ、今ちょうど子どもが昼寝してるんです。少し声を落としてもらえると助かります」

3人は夫と椅子を見比べました。それから足元や門柱のほうへ視線を向け、ひとりが「あ、ごめんなさい。ここ、玄関の前だものね」と小さく言いました。

「いえ。分かってもらえたら大丈夫です」

3人は「ごめんなさいね」と言いながら、門の外へ移っていきました。向かいの家で庭木に水をやっていたご主人も、こちらを見て小さくうなずいていました。

それ以来、3人が立ち話をするときは、道の向こうにある空き地の前へ移るようになりました。私と顔を合わせれば、これまでと変わらず会釈もしてくれます。

夫は誰も座らなかった椅子をたたみながら、ぽつりと言いました。

「椅子、いらなかったな」

「ううん。ちゃんと役に立ったよ」

私たちは顔を見合わせて笑いました。寝室をのぞくと、娘はまだ静かに眠っていました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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