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『脳梗塞のリスクが高い人』は“口の中”に共通点があった…。歯科医が明かす、見逃してはいけない「要注意なサイン」とは?

  • 2026.10.11
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「歯磨きをすると、いつも歯ぐきから血が出るけれど大丈夫かな?」「歯周病があると脳梗塞になりやすいって本当?」

このような不安や疑問を抱いたことはありませんか。お口の中のトラブルと、脳の病気。一見するとまったく関係がなさそうに思えるこの2つですが、実は深い関わりがあるのではないかと指摘されています。

なぜ、歯ぐきの状態が脳梗塞という命に関わる病気につながる可能性があるのでしょうか。今回は、そんな読者の皆様の疑問について、歯科医師の鷹巣多紀さんに詳しく解説していただきました。お口の健康を守るための正しい知識を、一緒に学んでいきましょう。

お口の炎症が血管に影響? 歯周病と脳梗塞の意外な関係

---歯周病があると脳梗塞のリスクが高まると聞きました。歯ぐきのトラブルが、なぜ脳の血管の病気と関係しているのでしょうか?仕組みを教えてください。

鷹巣 多紀さん:

「歯周病と脳梗塞の関係を考える鍵は、歯ぐきで長く続く炎症です。

歯と歯ぐきの境目に、歯垢という細菌のかたまりが残ると、体は細菌に対抗しようとして炎症を起こします。炎症が歯ぐきだけでなく、歯を支える骨などにまで及んだ状態が『歯周炎』です。

歯周炎が進むと、歯と歯ぐきの間の溝が深くなり、その内側の組織が傷ついて、細菌やその成分が血液中に入りやすくなります。また、体が細菌と戦うときにつくられる炎症に関わる物質も、血流に乗って全身へ運ばれます。こうした刺激が血管の内側の細胞に負担をかけ、血管の炎症や動脈硬化を後押しする可能性が考えられているのです。

動脈硬化が進むと、血管の壁に脂肪などがたまって血液の通り道が狭くなったり、血のかたまりができたりすることがあります。その結果、脳に血液を送る血管が詰まることが、脳梗塞の起こり方の一つです。つまり、歯ぐきの出血そのものが脳梗塞を起こすのではなく、背景にある炎症が血管にも影響するのではないかと考えられているのです。

実際に、歯周病のある人では脳梗塞を起こす割合が高い傾向がみられます。ただ、喫煙や糖尿病、年齢など、両方の病気に関わる要因もあるため、歯周病が直接の原因だとまでは断定できません。歯周病があるというだけで、必要以上に怖がることはありません。大切なのは、お口だけの問題と軽く考えず、歯ぐきの炎症を長引かせないよう必要な治療を受けることです。」

「少し血が出るだけ」は危険信号? 見逃してはいけない4つのサイン

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

---歯周病は自覚症状が出にくいと聞きます。私たちは普段、お口のどのような変化に気をつければよいでしょうか?目安を教えてください。

鷹巣 多紀さん:

「歯ぐきの出血や腫れの原因が歯周病なら、『少し血が出るだけ』と見過ごさず、治療を受けることが大切です。歯を支える組織が傷んでいくだけでなく、全身に影響し得る炎症が長引く可能性もあるためです。

米国で成人約6,700人を15年間追った調査では、歯ぐきが健康な人に比べ、歯周病のある人で脳梗塞の発症が多い傾向がみられました。年齢や喫煙、高血圧、糖尿病などの違いを考慮しても、関連が残っていた点は重要です。歯周病をお口だけの問題として片づけず、血管の健康との関わりも考える必要があります。

普段のお口の様子で気にかけてほしいのは、次の4つの変化です。

  1. 歯磨きやフロスで繰り返し血が出ることです。炎症のある歯ぐきは、軽い刺激でも出血しやすくなります。
  2. 歯ぐきの赤みや腫れが続く、または同じ場所で繰り返すことです。腫れが引いても、歯周ポケットの中に原因が残っている場合があります。
  3. 歯ぐきが下がり、歯が以前より長く見える変化です。強すぎる歯磨きなどでも起こるため、原因を確認してもらいましょう。
  4. 歯ぐきから膿が出ることです。歯周病のほか、歯の根の病気でも見られるので、自然に治るのを待たずに受診してください。

この4つは脳梗塞の前兆ではなく、歯周病などの異変に気づくための目安です。すべてがそろうまで待つ必要はありません。

歯周病は、痛みが目立たないまま進むことがあります。歯科医院では、歯周ポケットの深さや出血、必要に応じてレントゲンで歯を支える骨の状態などを確認します。『痛くないから大丈夫』と判断せず、繰り返す変化があれば相談しましょう。歯ぐきだけの炎症にとどまっている段階なら、歯垢や歯石を取り除き、磨き方を見直すことで改善が期待できます。」

今日からできる! 歯ぐきを守る正しいセルフケアと歯科受診のコツ

---歯ぐきの炎症を長引かせないために、家庭でのセルフケアや歯科医院の利用について、具体的に何を意識すればよいですか?

鷹巣 多紀さん:

「毎日のケアで意識してほしいのは、歯と歯ぐきの境目、そして歯と歯の間の磨き残しを減らすことです。歯磨きは、寝る前を含めて1日2回を目安に行いましょう。毛先を歯と歯ぐきの境目に軽く当て、小刻みに動かすのがコツです。強くこすると歯ぐきを傷つけることがあるため、毛先が広がるほど押しつける必要はありません。フッ素入りの歯磨き剤を使うと、むし歯の予防にも役立ちます。

歯ブラシが届きにくい歯と歯の間には、1日1回、フロスや歯間ブラシを使う習慣を加えてください。すき間が狭い部分にはフロス、広い部分には無理なく通る大きさの歯間ブラシが向いています。フロスは歯ぐきに勢いよく押し込まず、歯の側面に沿わせてやさしく動かすことが大切です。道具が入りにくかったり、使うと痛かったりする場合は、サイズや使い方を歯科医院で確認してもらいましょう。

少量の出血がある場合も、歯磨きそのものをやめず、やわらかめの歯ブラシでやさしく磨いてください。出血を繰り返す、量が多い、止まりにくい場合は、セルフケアだけで様子を見ずに受診しましょう。

洗口液は補助にはなりますが、歯磨きの代わりにはなりません。また、歯垢が硬くなった歯石は、家庭の歯磨きでは取り除けないものです。毎日のケアに歯科医院での歯石除去やチェックを組み合わせることで、自分では手の届かない部分も管理できます。受診の間隔は、お口の状態に合わせて相談してください。

なお、歯磨きや歯周病の治療によって脳梗塞を予防できるかは、まだ十分に確かめられていません。脳梗塞の予防には血圧や血糖値などの管理も重要なので、健診で指摘された数値はそのままにせず、医療機関で相談しましょう。たばこを吸う方は、禁煙も歯ぐきと血管の両方を守る大切な対策です。」

お口だけでなく全身を守るために、日々の正しいケアを

ただの「お口のトラブル」と思われがちな歯周病ですが、長く続く歯ぐきの炎症は、実は血管を通じて全身の健康にまで影響を及ぼしている可能性があります。「少しくらい血が出るだけ」と放置せず、日々の変化にいち早く気づき、正しいセルフケアと歯科医院での治療を組み合わせることが大切です。

毎日の丁寧な歯磨きとフロスの習慣、そして定期的な歯科受診。明日からできるお口のケアを続けることが、私たちの体や血管を守る確かな第一歩につながるはずです。


監修者:鷹巣 多紀
大学病院口腔外科にて研修後、一般歯科にて勤務。現在は1児の母として子育てと仕事に奮闘しています。

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