1. トップ
  2. ヘルスケア
  3. 「最近、足先が紫になっている…」“寒さのせい”と放置した60代男性→医師から告げられた“診断結果”に「油断しなければよかった…」

「最近、足先が紫になっている…」“寒さのせい”と放置した60代男性→医師から告げられた“診断結果”に「油断しなければよかった…」

  • 2026.10.30
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、麻酔科専門医の松岡雄治です。

「寒いから足先が冷えて紫になったのだろう」「市販の塗り薬で様子を見よう」そう考えて我慢を重ねていたAさん(60代男性)。

しかし、足の痛みが日ごとに激しくなって歩くことも困難になり受診したところ、「ブルートウ症候群(微小塞栓症)」と診断されました。「ただのしもやけだと油断しなければよかった」といまでも後悔していると語っています。

今回は、お腹の大動脈から剥がれたコレステロールの破片が足先に詰まる「ブルートウ症候群」の恐ろしいメカニズムについて解説します。

腹部大動脈からの「崩落のサイン」

なぜ、遠く離れたお腹の血管の異常が「足の指」に現れるのでしょうか。原因は、お腹の中を通る一番太い血管「腹部大動脈」に溜まった動脈硬化の破片(粥腫やコレステロール)が剥がれ落ちてしまうことにあります。

【足の指の毛細血管が詰まる悪循環フロー】

  • お腹の動脈硬化:腹部大動脈の壁に動脈硬化のドロドロしたコブやコレステロールが形成され、血管の内側がボロボロに毛羽立った危険な状態になる。
  • 破片の剥がれ落ち:血流の圧力やカテーテル操作などの刺激で、コブの表面が破れて細かい破片が剥がれ落ちる。
  • 足先の毛細血管の閉塞:コレステロールの細かな結晶が血液に乗って下流へ流れていき、足の指の細い毛細血管に詰まる。血流の障害を起こすことで、強い痛みとともに皮膚の青紫色への変色を引き起こす。
  • 組織の壊死・激痛:急速に血流が途絶えることで、強い激痛とともに皮膚が青紫色・黒っぽく変色する。

なお、破片が飛ぶのは足先だけとは限りません。同時に腎臓や消化管などの血管へも破片が飛んで詰まり、重い腎不全や多臓器の機能障害を引き起こす「全身の血管病」である点にも厳重な警戒が必要です。

「いつものしもやけ」と「危険な塞栓症」の境界線

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「寒さのせいだ」「年をとれば足先も冷える」と思われるのは、無理もないことです。少なくとも真っ先にこの病態が頭に浮かぶことはないでしょう。

冬場のしもやけは両足の指全体が痒くなったり痛んだりし、温めると和らぐ特徴があります。しかし、市販の保温靴下や塗り薬を使ってみても、毛細血管に物理的に詰まったコレステロールの結晶を取り除くことはできません。

この病気は「温めても引かない激痛」が突然襲い、特定の指だけがまだら模様に青紫色に変色(Blue Toe)します。また、足首や足の甲の太い動脈の脈拍はしっかり触れるのに、先端の指先だけが虚血に陥るのも大きな特徴です。

「しもやけだから温めよう」と、痛む足先を熱い湯につけたりカイロや湯たんぽを当てたりしてはいけません。血流が途絶えている部位を温めると、組織の酸素消費量だけが増加して酸欠状態が悪化し、組織の壊死(壊疽)を急速に早めてしまう危険があります。

重症化する前に確認すべき3つのサイン

放置すると指の壊疽が進み、最悪の場合は指の切断を余儀なくされることがあります。以下のサインを感じたら、ただちに循環器内科や心臓血管外科を受診してください。

1. 部屋を温めたり入浴したりしても、足の指の痛みが一向に引かない

寒さによる血管の収縮ではなく、物理的な血管の閉塞が起きている証拠かもしれません。 

2. 両足全体ではなく、特定の足の指だけが突然青紫色や黒っぽく変色した 

大動脈から飛んできた微小なコレステロール結晶が、毛細血管を詰まらせたサインの可能性があります。

3. 高血圧や喫煙歴があり、以前から「お腹の動脈瘤」や動脈硬化を指摘されている

大動脈の壁からコレステロールの破片が剥がれ落ちやすい下地が存在しているおそれがあります。

足の指の変色や激痛に気がついたら

ただの冷え症だと思って様子を見てしまうのは誰しもが陥る可能性のあることです。ぜひ今日からできる対応として、以下の点を確認してみましょう。

  • 靴下を脱いで足の指の色を観察し、特定の指だけが青紫に変色して激痛がある場合は、我慢せずに一刻も早く循環器内科や心臓血管外科を受診する(夜間・休日で激痛がある場合は救急受診も考慮する)
  • 最近、心臓や足のカテーテル検査・治療を受けた方、血液をサラサラにする薬(抗凝固薬など)を飲み始めた後に足の指の激痛が出た場合は、自己判断で服薬を中断せず、直ちに処方医や主治医に連絡する

    病院では造影CTなどで原因となるお腹の血管を調べ、コレステロールのコブを安定化させる薬(スタチン)などで治療していきます。「いつものしもやけ」が取り返しのつかない後悔につながることのないよう、ぜひ日頃から足先のSOSに気をつけていきましょう。

※記事中の事例は、実際の症例をもとにプライバシー保護の観点から一部設定を変更・再構成しています。

監修者・執筆:松岡 雄治
総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

の記事をもっとみる

注目コンテンツ