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「体が重くて起き上がれない…」“更年期だから”と放置した50代女性→ある日、病院を受診すると…判明した“意外な原因”とは?

  • 2026.10.29
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、麻酔科専門医の松岡雄治です。

「体が重くて起き上がれない。更年期だし、気持ちの持ちようかしら」そう思って無理に頑張ったり、「自分が怠けている」とご自身を責めてしまったりするのは、真面目な方ほど陥りやすい自然な心理です。しかし、その原因は他にあるかもしれません。

心療内科に通い詰めても晴れない気持ち、一日中横になるしかなく家事も手につかない日々を過ごしていたAさん(50代女性)。受診の結果「橋本病」と診断され、「ただの更年期障害や自分の怠けだと自分を責めなければよかった」といまでも後悔していると語っています。

今回は、心の不調だと思っていた症状の裏に隠れている「橋本病」のメカニズムについて解説します。

首元で起こる「代謝ホルモンの枯渇トラブル」

橋本病(慢性甲状腺炎)は、免疫のバランスが乱れることで、首元にある「甲状腺」という臓器に慢性的な炎症が起きる病気です。橋本病自体は無症状のことも多いのですが、炎症が進んで甲状腺の働きが落ちると、「甲状腺機能低下症」という状態を引き起こします。

【甲状腺ホルモンが枯渇して全身に影響が及ぶメカニズム】

  • 免疫の変化:本来体を守る免疫が甲状腺に反応し、慢性的な炎症を引き起こす。
  • ホルモンの枯渇:炎症で甲状腺の機能が低下し、全身の代謝を司る「甲状腺ホルモン」が十分に作れなくなる。
  • 代謝低下と全身不調:体のエンジンが冷え切り、強い倦怠感や気分の落ち込み、寒がりなどが一斉に現れるおそれがある。

「心の病」と「体の病」の決定的な違い

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「気力が湧かないのは心が弱いからだ」とご自分を追い詰めてしまうお気持ち、痛いほど分かります。

しかし、うつ病や更年期障害と、甲状腺ホルモンの不足による機能低下には明確な原因の違いがあります。気分の落ち込みや強い疲労感など症状がそっくりなため誤認されやすいのですが、原因は「首元の臓器の働きが低下し、ホルモンが足りなくなっていること」にあります。

橋本病は30〜50代の更年期世代の女性に圧倒的に多い病気です。更年期との重なりもあり、ご自身で抱えてしまう方が多いのです。

甲状腺の病気は、血液検査でホルモン値を調べることで診断が可能です。機能が落ちている場合は、医師の管理のもとで不足しているホルモンを薬(体内で作られるホルモンと同等の成分)で適切に補うことで、心身の軽さや笑顔を取り戻すことが期待できます。※現在、心療内科や精神科に通院中の方は、自己判断で通院や服薬を中断せず、「甲状腺の血液検査も受けてみたい」と主治医や内科医にご相談ください。

重症化する前に確認すべき3つのサイン

心の限界を感じて一人で抱え込んでしまう前に、ご自身で確認できる重要な初期症状を3つご紹介します。

1. 気分の落ち込みと共に「強い寒がり・皮膚の乾燥」がある

代謝が落ちて体温が上がりにくく、季節を問わず寒さを感じたり肌や髪がカサカサになったりします。 

2. 食欲がないのに「体重が増える・顔や手がむくむ」 

カロリーを消費する力が低下し水分も溜まりやすいため、食べていないのに体重が増加し顔が腫れぼったくなることがあります。

3. 脈拍がゆっくりになり、「便秘や声のかすれ」が続く

全身の動きが遅くなるため、脈拍数が減ったり腸の動きが鈍くなって頑固な便秘になったり、声が低くかすれることがあります。

心身の不調や気分の落ち込みに気がついたら

「自分が不甲斐ないからだ」とご自身を責める必要は全くありません。ぜひ今日からできる以下の3つの対処法から実践してみてください。

  • 「更年期やうつだと思っていたけれど、当てはまる症状が多い」と感じたら、我慢せずまずは身近な一般内科(かかりつけ医)、または内分泌内科や甲状腺専門外来を受診して血液検査を相談する
  • 健康診断で「急にコレステロールが高くなった」「CK(筋肉の酵素)が高い」と指摘された場合も、甲状腺の不調を疑ってみる
  • 昆布の過剰摂取(出汁を毎日濃密に飲む、昆布製品を大量に食べるなど)は甲状腺の機能を一時的に悪化させることがあるため、極端な偏食を避けてバランスの良い食事を心がける

    「ただの更年期障害」という誤解が後悔につながることのないよう、まずは体が出しているサインを見逃していないかチェックしてみましょう。

※記事中の事例は、実際の症例をもとにプライバシー保護の観点から一部設定を変更・再構成しています。

監修者・執筆:松岡 雄治
総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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