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熱中と依存の違いとは?時間の長さで判断しない4つの見分け方を元小学校教諭が解説

  • 2026.9.27

「ゲームばかりで心配」「動画を見る手が止まらない」。好きなことに没頭しているだけなのか、それとも依存なのか。この線引きに迷う保護者は少なくありません。教員歴十数年でJADP認定上級心理カウンセラーでもあるオンライン教育相談ボーダレススター代表の貞盛秀明さんが、時間の長さに頼らない4つの見分け方と、家庭で今日からできる関わり方を解説します。

ママ広場

「うちの子は好きなことに没頭しているだけなのか、それとも心配すべき状態なのか」。
教育相談をしていて、よく聞かれる質問です。声をかけて取り上げるべきか、それとも見守るべきか。迷ったままそわそわしている。そんな保護者の方を、私は何人も見てきました。
結論から書きます。熱中と依存は、時間の長さでは見分けられません。
こども家庭庁の実態調査によると、小学生(10歳以上)のインターネット利用時間は、平日1日あたり平均で4時間近く。しかも年々伸び続けています。つまり「3時間もやっている」というのは、それ自体では何の判断材料にもならないんですよね。時計を見て不安になるのは、気持ちは確かによく分かりますが、見るべきところは、別にあります。

家庭で見るべき4つの観点

(1)やめられるか
いちばん実用的な目安がこれです。声をかけたとき、文句を言いながらでも、しぶしぶでも切り替えられる。それなら大丈夫です。渋るのは正常な反応で、大人だって読みかけの本を途中で閉じるのは嫌ですよね。
心配なのは、切り替えそのものができなくなっているときです。約束した終わり方を本人が何度も破る。やめさせようとすると激しく荒れる。これは「量」ではなく「制御」の問題です。
(2)他の生活が削られていないか
睡眠、食事、登校、友だちとの約束。この4つのうち、どれかが後回しになりはじめていないかを見てください。夜中まで起きている。朝起きられない。食事の席に来ない。遊びの誘いを断るようになった。
熱中しているだけの子は、生活の土台は保ったまま熱中します。土台のほうが削られはじめたとき、そこが注意すべきサインです。
(3)本人が楽しんでいるか
これ、けっこう見落とされます。
熱中している子は、その話をするとき目が輝きます。ところが依存に近づくと、楽しさよりも「やめたときの不安」や「できないときのイライラ」のほうが前に出てくる。楽しいから続けているのか、やめると苦しいから続けているのか。ここは、本人の表情を見ていればわかります。
(4)広がりがあるか
同じ場所にとどまっているか、それとも広がっているか。ゲームなら、攻略の工夫を考える、絵に描く、友だちに説明する、関連する歴史や仕組みを調べ始める。動画なら、自分で作ってみようとする。こうした広がりが出ているなら、それは立派な学びの入口です。
逆に、何時間使っても中身が同じ反復に見えるとき。ここは少し立ち止まって考えたいところです。

医学的な線引きは、家庭ではしない

参考までに書いておきます。世界保健機関の国際疾病分類(ICD-11)には「ゲーム行動症(ゲーム障害)」という診断名があります。日本精神神経学会の解説によれば、その診断はおおむね次の4点です。
●ゲームのコントロールができない。
●生活の中でゲームの優先度が極端に高くなっている。
●学業や家庭生活、健康に明確な問題が出ている。
●それでもなお続ける、あるいはさらに増えていく。

加えて、その状態が長期間(おおむね12か月)続いていることが目安とされています。
注目していただきたいのは、この4点のどこにも「1日何時間以上」という記述がないことです。専門家も、時間では線を引いていないんです。
そして当然ですが、これは診断基準であって、家庭でつけてよいものではありません。私自身もカウンセラーであって医師ではないので、診断はいたしません。ご家庭で使っていただきたいのは、あくまで先ほどの4つの観点。「相談すべきかどうかを判断するための目安」のほうです。

家庭で取り組めること

○ 時間ではなく「区切り」で終える約束にする
「8時になったら終わり」。この約束、実は守りにくい設計です。対戦の途中やセーブできない場面で切られたら、子どもにとっては理不尽な中断でしかありません。おすすめは「あと1試合」「この面をクリアしたら」という区切りで終える形にすること。そのうえで「区切りがつくのは、だいたい何分後?」と本人に見積もらせてください。時間を守る練習より、自分で終わりを設計する練習のほうが、長い目で見て役に立ちます。
○ 取り上げるのではなく、一緒に予定を立てる
取り上げる。その場は静かになります。ただ、次に同じ場面が来たときに使える札が1枚減るだけです。それよりも、1週間の予定を一緒に紙に書くほうが効きます。宿題、風呂、寝る時間を先に置いて、残った枠にゲームや動画を入れる。順番を決めるのは本人です。「どこを削るか」を自分で決めた子は、その約束をかなり守ります。
○ 熱中している対象そのものを否定しない
「そんなもの」「くだらない」。この一言は、本人の関心ごと否定してしまいます。しかも、そう言われた子は、次から何にはまっているかを話さなくなる。困ったときに相談してもらえる関係を失うほうが、はるかに大きな損失です。
中身を全部理解する必要はありません。「それ、どんなところがおもしろいの?」「楽しそうだから教えてよ」と、興味をもって聞いてみてください。ただ、こうした質問をするとき、子どもは次に親が叱ってくるんじゃないかと構えてしまうことが多くあります。あくまで楽しく、あなたのやっていることに興味があるんだよという姿勢を大事にしてください。説明しているうちに、自分で客観視し始める子もいます。

家庭の工夫を超えるとき

ここまでは、あくまでご家庭でできる範囲の話です。次のような状態が続いている場合は、早めに外の力を借りてください。
◎昼夜が逆転している。
◎学校に行けなくなっている。
◎体重や体調に変化がある。
◎本人が「やめたいのにやめられない」と苦しさを口にしている。
◎取り上げようとすると、家庭内で暴力や激しい衝突が起きる。
◎金銭に関わる問題が出ている。

相談先は、学校のスクールカウンセラー、自治体の子育て・青少年の相談窓口、依存症の相談に対応している精神保健福祉センターや医療機関などです。相談は、手に負えなくなってからするものではありません。判断に迷っている段階で行くのが、いちばん効きます。

最後に

教員をしていたころ、授業では目立たないのに、好きな分野の話になると別人のように語り出す子が毎年いました。ああいう子は、伸びます。何かに没頭できる力は、この先の人生でその子を支える資産です。
だからこそ、時計の数字だけを見て、その力ごと取り上げてしまうのはもったいない。見るべきは4つ。
・やめられるか。
・生活が削られていないか。
・本人が楽しんでいるか。
・広がりがあるか。

4つとも問題がないなら、それは依存ではなく熱中です。どうか安心して、見守ってあげてください。

参考
・公益社団法人 日本精神神経学会「樋口進先生に『ゲーム行動症』を訊く」
https://www.jspn.or.jp/modules/forpublic/index.php?content_id=65
・こども家庭庁「青少年のインターネット利用環境実態調査」
https://www.cfa.go.jp/policies/youth-kankyou/internet_research/results-etc/r06

※本記事は一部生成AIを活用して記事のチェック・校正を行っています。最終的な内容確認およびファクトチェックは、実績のある専門家が実施しています。

執筆者

プロフィールイメージ
貞盛秀明
貞盛秀明

元小学校教諭。特別支援学校小学部の担任も経験。教員歴十数年、進学塾講師を含めるとおよそ二十年。現在はオンライン専門の教育相談室「ボーダレススター」を運営し、不登校・発達の特性・学習のつまずき・学校との関係づくりについて、保護者と子どもの相談を全国から受けている。小学校・特別支援学校・幼稚園教諭免許、JADP認定上級心理カウンセラー。

ボーダレススター

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