1. トップ
  2. エピソード
  3. 「上の家の泥と枯れ葉で側溝が詰まるの」雨のたび側溝を掃除していた私。だが、上の家の奥さんが気づいた結果

「上の家の泥と枯れ葉で側溝が詰まるの」雨のたび側溝を掃除していた私。だが、上の家の奥さんが気づいた結果

  • 2026.9.27

雨のたびに詰まる家の前の側溝

坂の途中に建つ一戸建てに越して、三年がたつ。

うちは斜面を切りひらいた土地に建っていて、道をはさんだ坂の上には、もう一軒の家がある。

困るのは、強い雨が降った日だった。

上の家の庭から流れ出た茶色い水が坂道を伝い、泥や枯れ葉がうちの前まで流れてくる。

それが側溝のまわりにたまり、ひどいときには水の流れが悪くなってしまうのだ。

大雨の日には、朝に泥や枯れ葉を取り除いても、夕方にはまたたまっていることがあった。長靴をはき、1日に2度掃除する日もある。

ある晩、泥だらけになった軍手を洗いながら、私は夫にこぼした。

「雨のたびに、上の家の泥と枯れ葉で側溝が詰まるの」

「一度、言ってみたら?」

「うーん……でも、ご近所だし。気まずくなったら嫌だな」

夫は無理に勧めなかった。

上の家の人が、坂の下にあるうちの側溝を見ることはほとんどない。

もしかしたら、こんな状態になっていること自体を知らないのかもしれない。そう思うと、余計に言い出しにくかった。

側溝をのぞいた奥さんが黙り込んだ

ある雨上がりの朝、私は側溝のまわりにたまった泥や枯れ葉を、スコップでかき集めていた。

バケツに泥が半分ほどたまったころ、坂の上から足音が聞こえた。

顔を上げると、上の家の奥さんが買い物袋を提げて降りてきた。60代くらいの、普段から会えば穏やかに会釈を交わす人だ。

「あら、朝から大変ね」

奥さんが足を止めた。

言うなら今かもしれない。私はスコップを置き、思い切って口を開いた。

「実は、雨が強いと泥や枯れ葉がここにたまってしまって……」

奥さんは「え?」と側溝へ目を落とした。そして、バケツにたまった泥と、側溝のまわりに残っていた枯れ葉を見て、その場にしゃがみ込んだ。

「……これ、うちの庭から流れてきてるの?」

「坂の上から流れてきているので、たぶん……。ずっと言おうか迷っていて」

奥さんはしばらく側溝を見たあと、申し訳なさそうに顔を上げた。

「こんなことになってたのね。ここまで見に来ることがないから、全然気づかなかった。ごめんなさい」

「いえ。私も、もっと早くお話しすればよかったです」

「言ってくれてよかったわ。主人にも話して、何かできないか考えてみるね」

次の週末、坂の上で始まった作業

次の週末、上の家の庭の端に土止めの板が並んでいた。坂に面した植え込みの下には、落ち葉を受ける目の細かい網も置かれている。

奥さんのご主人が、庭先で杭を打っている姿も見えた。

その後も何度か強い雨が降ったが、以前のように、うちの前の側溝が泥と枯れ葉で詰まることはなくなった。

ある雨上がりの朝、郵便受けを見ていると、坂を降りてきた奥さんが側溝をちらりと見た。

「今日は大丈夫?」

「はい。おかげさまで、全然違います」

「よかった。また何かあったら言ってね」

奥さんはそう言って笑った。

近所だからこそ、言いにくいこともある。でも、相手が状況を知らないだけなら、黙ったままでは何も変わらない。

きちんと話してみてよかったと、きれいになった側溝を見るたびに思う。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ