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「猫は、ちょっと預かってるだけで」ペット禁止のアパートで、管理会社が隣人に伝えたこと

  • 2026.9.27

薄い壁の向こうから響く声

アパートの二階に住んで四年になる。隣の部屋には、20代くらいの男性が一人で暮らしている。

去年の秋ごろから、その部屋から夜中に大きな声が聞こえるようになった。

ゲームをしているらしく、叫ぶような声や机をたたく音が、薄い壁ごしに枕元まで響いてくる。

目が覚めて時計を見ると、夜中の2時を過ぎていることも珍しくなかった。

管理会社へ相談すると、そのたびに注意してくれた。数日は静かになるものの、一週間ほどするとまた元に戻る。そんな状態が何か月も続いた。

さらに、隣の部屋のほうから猫らしい鳴き声まで聞こえるようになった。このアパートはペット禁止だったため、そのことも管理会社へ伝えた。

何度目かの電話で、担当者から言われた。

「こちらからも何度かお伝えしています。お手数ですが、今度音がしたら、日付と時間を記録していただけますか」

「わかりました。こっちも夜中に何度も起こされているので、記録します」

それから私は、枕元にノートを置くようになった。

2か月分の記録を見た担当者

声で目が覚めるたびに日付と時刻を書き、猫の鳴き声が聞こえたときも記録した。

2か月後、ノートを持って管理会社の窓口へ行くと、40代くらいの男性担当者が一枚ずつページを確認していった。

「深夜の記録がかなりありますね」

「はい。夜中2時を過ぎても大声が続いているんです。それに、隣の部屋のほうから猫の鳴き声もします」

担当者はもう一度ノートを見てから、うなずいた。

「わかりました。契約内容も確認して、改めてこちらから本人に伝えます」

その週の土曜の夕方、外階段を上がると、担当者が隣の部屋の前に立っていた。

ドアから顔を出した男性に、契約書を見せながら話している。

「夜間の騒音については、これまでにもご連絡しています。それと、この物件はペットの飼育を禁止している契約です」

男性は困ったように頭をかいた。

「猫は、ちょっと預かってるだけで」

「事情は承知しました。ただ、契約上は飼育できません。騒音も含めて、改善が見られない場合は、今後の契約についてお話しすることになります」

男性が何か言いかけると、担当者は声を荒らげることなく、同じ内容をもう一度伝えた。

男性は契約書に目を落とし、しばらく黙ったあと、小さく答えた。

「……わかりました」

階段の下には一階の年配の男性もいたが、話が終わると、そのまま自分の部屋へ戻っていった。

翌週、隣の男性が猫用のキャリーを抱えて外階段を下りてきた。すれ違うとき、目を合わせないまま言った。

「猫、実家で見てもらうことにしました」

「そうですか。わかりました」

その夜、2時になっても隣から大きな声は聞こえなかった。それ以降も、夜中に目を覚ますほどの騒音はなくなった。

久しぶりに朝まで眠れた数日後、外階段で隣の男性と顔を合わせた。男性は先に小さく頭を下げた。

「おはようございます」

「おはようございます」

それだけのやり取りだったが、以前とは少し空気が変わったように感じた。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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